月と太陽(男性編)

ピーコ

月と太陽(男性編)

僕のペンネームは透明人間。何色にも染まりたくないから透明人間という名前をつけた。


僕は、SNS上に小説&朗読のサークルを立ち上げた。主に活動しているのは僕を入れて6人。


メンバーは、男性2人、女性4人。年齢も職業もバラバラ。


月に1回、祖父の営む小さな喫茶店で朗読会を開いている。


今回は、わざと全員呼ばなかった。僕は、好きな女性が出来た。年齢は、20代前半から半ばくらいだろうか。ペンネームは、雨。すごく大人しい子。小説も繊細な作品だ。この子は、きっと人付き合いが苦手、きっと恋愛経験もないピュアな子に違いない。


僕も人付き合いが苦手だ。中学の途中から、学校に通っていない。いじめられていたわけでは、ない。あの集団の閉鎖した空間にいると息が詰まって逃げ出したくなるからだ。


僕は、子供の時から祖父と2人暮らしだ。祖父からは両親は亡くなっていると聞いている。写真もないし、実際のところは、わからない。


僕が学校に行かなくても祖父は、何も言わなかった。その代わり、本をたくさん僕に与えた。

本を読むことで、いろんな世界と触れ合えた。


SNS上で読んだ本のことを書き込むと反応が返ってきた。うれしかった。僕は、人との繋がりを求めていたのかもしれない。


僕は自分でも作品を書くことにした。投稿サイトを作ると仲間が出来た。自分と同じ趣味の仲間が出来たことに喜びを感じた。どんな人達なのか会ってみたい。僕はそんな風に思った。


いつも会う仲間たちは、いい人達ばかりだ。

僕の作品を褒めてくれる。君には才能がある。

感動した。面白い。素晴らしい。僕は、褒められることに快感を覚えた。


その中にいた雨という女性は、僕の声を誉めた。

「透明人間さんの声って素敵ですね」と。

僕は、声を初めて褒められた。自分の低い声が大嫌いだった。僕は声を誉めてもらえてうれしかった。


彼女の声も僕は好きだ。か細い声けど、透き通ったキレイな声。繊細な作品に、ぴったりの声。

彼女は、色が白く、薄い茶色の髪色をしている。

ハーフっぽい顔立ち。華奢な体つき。まるで人形だ。


僕は、彼女を自分のものにしたいと思った。

彼女も僕のことが好きな素振りを普段から見せている。


僕が朗読すると潤んだ目で僕の顔を見ている。

DMを送ると、うれしそうな返事が返ってくる。

間違いなく彼女は、僕のことが好きだ。


2人で会おうと急に誘うのは、強引だから、今回のオフ会は、人数が集まらなくて2人になりそうだから、中止にすると送ることにしよう。もし彼女が僕に会いたいのなら、向こうから何か言ってくるに違いない。


案の定、彼女は、2人でもオフ会を開いてほしいとDMを送ってきた。彼女は、僕のことが好きなんだ。


1週間後、僕と彼女2人っきりのオフ会を開いた。


彼女は、やってきた。店の奥のいつもの部屋で朗読会を開くことにした。朗読の前に、祖父の入れたコーヒーと手作りのモンブランをごちそうすると彼女は、おいしそうにモンブランを頬張った。


彼女から作品を読むように促した。彼女の今回の作品は、まるで僕に当てたラブレターのような

内容だった。告白のセリフを緊張した震えた声で読む彼女。すごく、愛おしい。彼女は、作品を読むと安心したのか涙を流している。


僕は思わず彼女に気持ちを伝えた。好きだと彼女を抱きしめた。彼女も受け入れてくれた。


僕が作品を読む番になった。

作品の内容は、こうだ。孤独な男に大好きな

女の子が出来て、その子を監禁して、家に返さない話。男は、人形が欲しかった。生きてる人形が。


朗読を聞いている彼女は、興味深そうに聞いてる。まさか、その話が、実際にこれから起こる出来事とは、知らずに。











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月と太陽(男性編) ピーコ @maki0830

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