晴輝
~晴輝~
神野ゆいが借りているマンションに晴輝の荷物が運びこまれた。
引っ越すことも考えたが、広さも場所も申し分なかったので晴輝が転がり込むかたちになってしまったのだ。
「ゆい、座って」
片付けが済んで、晴輝がゆいをソファーに座らせた。
「これからよろしくお願いします」
晴輝が改まって言った。
「こちらこそよろしくお願いいたします」
ゆいも改まって言った。
「ゆい、ありがとうね」
晴輝はゆいを抱きしめた。
「何が?」
「うーん、何か、色々」
「あは。じゃあ私も。晴輝ありがとうね」
ゆいも晴輝をギュッと抱きしめた。
「俺もこれから勉強したり、仕事したりして、多分色々とあると思う。ゆいもこれから仕事も警察のも政府のも、色々あると思う。色々あると思うけど、俺たち頑張って、一緒に乗り越えていこうね」
「……はい」
「いっぱい笑って、いっぱい楽しもうね」
「……はい」
「ずっと一緒にいようね」
「はい!」
二人とも、力一杯お互いを抱きしめていた。
神野ゆいは幸せを感じながら、自分と自分をとりまく人たちが次のステップへと進むために歩き出したことを実感していた。
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