神野ゆい
~神野ゆい~
「いよいよ来週からよろしく頼みますよ」
上条太郎が言った。
契約も順調に進められ、毎週水曜日は政府のカウンセラーとして「聞くだけ屋」を明け渡すことになった。
「ゆいさんはいつも通りに、そう堅くならなくても大丈夫ですからね」
「はい。ありがとうございます」
上条太郎は優しく気を使ってくれた。
「で、こっちの方はまあ、俺が頼みたい時にお願いするって感じだな」
篠原が笑顔で言った。
「はい、よろしくお願いいたします」
神野ゆいは二人に頭を下げた。
「こっちも最初のうちはそんなに来ないと思いますよ。政治家なんてプライドの高い人間ばっかりなんでね。気にせずゆっくり浸透させていきましょう」
「はい」
神野ゆいも同じ考えだった。
テレビで見る限り偉そうにしている政治家達がこんな所に相談に来るなんて思えなかった。
そもそも自分は大学さえ行っていないのだ。
どこのだれかもわからない若い女が専門のカウンセラーだと言われても政治家たちは不信感しか抱かないだろうな、ということはわかっていた。
上条太郎に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、口に出すのはやめた。
(なるようになる、だ)
神野ゆいは腹をくくった。
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