第六話 魔女狩り
生徒会長の銃乱射を皮切りに、学園の全生徒を巻き込んだデスゲーム。
それは学園側によって仕組まれた制裁なのだと世間一般には報道されている。
だとすると、事件の首謀者は学園そのもので、このデスゲームは学園の秩序を乱し、品位を貶めた奴らの犯人探し――『魔女狩り』が目的だと思われる。
(でも、それなら『魔女』を特定してから血祭りにあげるのでもよかったんじゃないのか? どうしてこんな、非人道的な真似までして……)
何かが、おかしい。
これは渦中にいるからこそわかる、漠然とした疑念だった。
とはいえ、デスゲームに放り込まれたからには、その犯人探しに協力しなければ標的にされかねない。ゲーム進行を担うはずであっただろう生徒会長は、僕という
学園が望むように、円滑にデスゲームが進んでいると思わせなければ。
「こにゃたん。僕に考えがある」
こにゃたんを守るためにも、このゲームを進めなければならないのだ。
つまり、僕がこにゃたんのフリをして、率先的にゲームマスターを務める必要があった。デスゲームで殺し合うフリをしながら、殺さずにゲーム終了まで死体(仮)を隠しきるなんて芸当、変質者の僕にしかできないことだから。
だから僕は、このデスゲームがいわゆる『魔女狩り』であること。
僕がその魔女を炙りだし、殺し合い、ゲームを円滑に進めることを説明した。
「だから、こにゃたんにはできるだけ安全な場所で、隠れていて欲しいんだ」
目線を合わせて懇願すると、こにゃたんはあからさまに悲しそうな面差しをした。
『置いていかないで……』
大きな瞳に真珠のような粒を浮かべ、そう訴えている。
――そう。
薄々気づいているかな、とは思っていたんだ。
このデスゲームは、こにゃたんにとっては、もはや僕の傍に居ることが一番安全なのだ。
(置いていけるわけがない……! こんな愛らしいこにゃたん……!)
こにゃたんをずぶずぶに溺愛している僕は、彼女を連れたままデスゲームに参加するというハンデを追うことになる。
幸か不幸か、僕らの見た目はまったく同じ。
よほどの男の娘ジャッジマスターでなければ、膝小僧のひとつや指の関節のゴツさから、コスプレ状態の僕を男だと見破ることは難しいはずだ。
それに何より、僕はストーカーの特性である隠密と素早さに特化している。
そんな悠長に膝小僧を観察させるほど、僕は甘くはないぞ……
「……とまぁ。そんな顔をされちゃあ仕方ないね。一緒に行こうか、こにゃたん」
「ありがとう、守くん!!」
ぱぁあ……! と明るい天使の笑みに、僕は呼吸困難で死にかけた。
次なるデスゲームの舞台は、第二理科室……
そこから動かないゆーりぃの反応を確かめに、彼女を救出に行かなければならない。
だが、僕の見立てでは、おそらく『魔女』のひとりが、そこにはいる。
会えばきっと、
※あとがき
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