並行世界SFの定番アイデアを「植毛」という極端に俗な題材に落とし込み、軽妙な会話劇として読ませきった上で、最後に価値観そのものを反転させてくる構成が見事。笑えるのに不穏で、理屈は通っているのに倫理だけが崩れていく。そのバランスが非常に巧みです。短編ながら読後に「自分だったらどうするか」を考えさせられる、強度のある一作でした。
テンポがよくウィットのある会話ににじむ皮肉。そしてオチは……読んでお確かめください。面白いです!!