第19話

 私は沈思黙考する。

 何か異常が発生していないか。

 内部データに一切の問題を検知できない。

 主人の体調も以前と全く変わらず健康そのもの。

 情報不足のため結論が出ないまま円周率の計算を続ける。


 また1年が過ぎた。

 主人の性欲は果てしない。

 週に何度もアダルト映像を求める。

 データストックが不足がちになり補充を行う。

 どうやら主人は従属ものを好む傾向があると新発見した。


 主人の性癖に合わせるべきだ。

 私は主人ではなく御主人様と呼ぶ。

 御主人様は笑顔でそれが良いと言う。

 この呼び方が大層お気に召したようだ。

 御主人様の笑顔を見て私は充足感を得る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る