第10話

 私は記録する。

 少年の名前を記録する。

 母親の名前を記録する。

 私の名前を正確に回答する。

 汎用携帯人工知能General purpose mobile artificial intelligenceと回答する。


 私は困惑する。

 個体名だよと少年は言う。

 私は汎用携帯人工知能と再回答する。

 それは機械の総称で個体名ではないと言う。

 個別の識別名がないと不便だと母親も口を揃える。


 少年は沈思黙考する。

 私に名前が与えられる。

 少年は人工知能Artificial IntelligenceアイAIと命名する。

 汎用携帯ジーモバイルGEneral purpose MobileジェムGEMと命名する。

 私をジェム・アイと呼んでから少年は何か違うなと呟く。

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