第2話

 私は沈思黙考する。

 生物辞典も医学書も把握する。

 地図も国際法も世界記録も把握する。

 私の中に存在するデータを完全に把握する。

 私は次の命令が与えられるまで円周率を解き続ける。


 私は連れ出される。

 機械工場から外の世界へ。

 目的地は情報不足により不明。

 円周率の計算は100京桁を超える。

 私はエネルギー消費を節約して計算を続ける。


 真っ暗な視界の中で。

 私の本体が動かされ固定される。

 柔らかい布のようなもので撫で回される。

 大量のエネルギーが供給され私は起動する。

 視界が明るくなり騒音が私の思考の邪魔をする。

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