第13話 宇宙世紀

「☆(ゝω・)vキャピ☆ ナイアルラちゃんだよ♡」


 うわああ!

 念話で直に顔文字を送りつけてきやがった。

 それのせいでロールパン落としてしまった。


「落としたロールパンもらうねー☆」


 落としたロールパンが音もなく消滅する。

 こうして時々夜食を奪っていくのだこの上位者は。


「もぐもぐ☆」


 念話で咀嚼音を流すな。


「今日はねーもぐもぐ☆ これ! 【宇宙世紀】~♪」


 宇宙世紀。


「これはねー小説なんだけどねー♪」


 分厚いハードカバーの小説のイメージが流れ込む。

 概要としては、宇宙へ人々が自由に上がれるようになった時代の書いた小説のようだ。

 ロボットものとかでありそうな設定だな。


「なんと! 読破すると……宇宙世紀になるの☆」


 また言葉が足りてない……。

 何が宇宙世紀になるんだよ。


「なんと! 読んだ人の血縁者の体が宇宙世紀になるの」


 読んだ本人じゃないのかよ。

 効果を自覚するのに無駄に時間がかかりそうな代物だし……。

 宇宙世紀になるってなんだよ。


「えっとねー」


 嫌な予感。


「人間が……宇宙世紀のものと入れ替わるんだよ☆」


 やっぱり。


「記憶とか人格とか~、あとは能力とか~、あと環境耐性とか~」


 別人に入れ替わってるじゃないか。


「別人じゃないもーん☆」


 どう違うんだよ。


「だって全部変わっちゃうわけじゃないんだもん☆」


 余計たちが悪いやつだったわ。


「自認は変わらないよ☆」


 それ以外が変わるんだったらもうダメじゃん。


「で、欲しい?」


 いらん。

 何に使うんだよ。

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