第7話 ポケットハウス

「じゃじゃーん! ナイアルラちゃんだよ☆」


 ぐわああ!

 爆音のせいでカップ麺こぼしたァァァァ!


「矮小なる人間、大丈夫~?」


 心配する心があるならボリュームを落としてくれ……。

 なんだその音量は、通信機でも壊れたのか。


「音量調整OK~☆ いい感じになった?」


 相変わらずキンキン声はそのままだが音量はマシになった。

 こぼしたカップ麺も片付けて、と。

 うーん、夜食はこぼしてしまったしパンをつまむか……。


「今日はねぇ~!!!!! 【ポケットハウス】だよ!」


 うっさ!

 相手されてないと思って存在感を出そうとするのに声をデカくするな!


「今日のコレはねぇ、手乗りサイズのお家だよ☆ 可愛くない~?」


 ミニチュアサイズの家のイメージが直接脳に送られてくる。

 正直この強引に押し付けてくるイメージだけでも吐きそうなんだが……。


「このおうちはねぇ、なんと!」


 なんと。


「住める!」


 住める。

 え?

 住める?


「入ろうとするとちっちゃくなって入れるの☆」


 人が縮小されて入れるってこと?

 中身も作り込まれて……あっ、追加イメージ。

 中身の部屋なんかも普通に使えそうな、というかコンセントまである。

 現代日本か?


「そうだよ! すごい便利!」


 ……まて、どうせ出たら元のサイズに戻れないとか、そういう罠があるんだろ?


「……?」


 なんだその表情は。

 いや、顔はわからないが感情だけこっちに送ってくるな。


「風に飛ばされるくらい軽いことくらいかな☆」


 いや、なんというか。

 こいつが紹介するアイテムとしては普通の地雷すぎる。

 生活の場として軽すぎる、というだけで。


「あ、でもコレ拾った世界は滅んでたんだよね? なんでだろ~♪」


 土地の問題が解決した結果、超過密都市形成→食料生産の停滞→集団餓死!

 土地の問題が消えてもエネルギー問題が消えるわけがないのに過度な人口増加で政策破綻!

 災害に弱い家造り!

 あと空気感染性の感染症!

 まあ思いつくだけでもこれだけあるが……。


「ま、なんでもいいか☆ コレ欲しい?」


 別にいらねえ。

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