本編
「これより、第〇◇回XX高等学校卒業式を行います」
時は太平洋戦争の真っただ中、朝に行った校長の奇行もむなしく、卒業式が始まってしまった。
今年度の卒業生は成績もよく、敵国を打倒しうるに足る力を持っているだろう。
成績が良いゆえに、この卒業生はすぐに前線に送られるだろう。
そんな境遇にいる生徒たちを、将来有望な若者たちを、校長は戦争から守りたかったのだ。
「次に、校長からの式辞ですが、今日の朝に急に体調を崩されましたので飛ばさせていただきます」
もちろん、体調を崩したから休んだというわけではない。
反戦主義者だとしられたために、この校長は秘密警察に連行されたから出席できなかったのだ。
しかし、朝早くからパンツ一枚で校庭で倒れていたため、風邪をひいてしまったのは事実だ。
「これにて、第〇◇高等学校卒業式を終わります。
一同起立、礼、着席」
これにて卒業式は終わり、生徒たちは死への飛行機に乗ることになるのだ。
終わりの卒業式 ミンイチ @DoTK
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