第3話


握手会当日。この日のためにペンライトと莉羽の顔を書いた団扇で準備は完璧!

オシャレもしたし、凛太郎にも団扇を持たせた。


「げっ……なんだこの人の数」

「そりゃ人気凄いからね〜 見て?莉羽の列」

「これ何時間待てばいいんだよ……」

「こんなこともあるかと思ってプレミアムチケットを買ったのだー!」

「……いくら使ったんだ?」

「……よし!並ぼう!」


莉羽に本当どんだけ貢いだかはわからない。

多分、高校生が貢ぐ数字じゃないのは確かだ。

けどいい!僕はそれが幸せなんだ!莉羽万歳!


「チケット拝見いたします。プレミアムチケットご購入の方ですね。こちらへどうぞ」


さすがにプレミアムチケットは高くてかなりのオタクじゃないと中々手を出せないこともあって3組ほどしかいなかった。

握手会に来るファンはほとんど女の人。

男なんて僕達くらいしかいなかったから視線が痛い……


「なんか俺ら浮いてね?」

「浮いてる方が認知してもらえるさ!」

「……お前楽しい性格してんな」

「ありがとう!」

「褒めてねーわ」


そんな会話をしているとあっという間に僕達の番がきたらしく、あんなに楽しみにしていたのにいざ順番が回ってくると緊張してきた……

LieNが人気になってから莉羽と会うのは初めてだ。

ゴクリと唾を飲み込んでいざ参上!


「お!男の子!すげえ嬉しい」


ヤバい……ヤバい……!莉羽だ、莉羽だ……!

尊い……!尊い……!尊いってば……!


「あ、こ、こ、こ、こんにちは!です!」

「こんにちは〜 てかCDいっぱい買ってくれたんだね?ありがとう」

「す、す、す、すきです!ファ、ファンです!」


いやいや僕キモすぎない?ただのキモオタじゃない?眩しい。眩しすぎる。


「お前あのこと言わなくていいのかよ」

「あのこと……?どうしたの?」


おいくそ凛太郎!今言うか?普通。

緊張して上手く喋れないっていうのに。


「えっと……そ、その……あ、ええと……」


無理だ、言えない。言えるわけがない。


「なにお前クヨクヨしてんだよ!もういい!俺が言う!」

「ちょ、ちょ、凛太郎!?」


凛太郎はインストのことを莉羽に話した。

どうせ間違いだ、そうだと思っていた。


「あー……キミ劇場の時も来てくれてた子だよね?あれ間違いじゃないから。キミがよかったらあのままでいい?」


え?今なんて言った……?

間違いじゃない?なにが?誰が?


「え?どういう……ことで、しょ、うか」

「ん?そのままの意味だけど?そろそろ時間くるね。特別にハグしてあげる。内緒ね?」


〝ギューッ〟


え?え?え?やばい僕、無事死亡。

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