第6話 職業に就こう
色々と悩んだけれど、アウラロウラさんの「初心者ですから、汎用性のあるヒューマンにしておくのが無難かと」というアドバイスに従って種族はヒューマンを選択することにした。
「一度最後までキャラクター作成を行ってみるのもいいかもしれませんね。職業や技能からやってみたいことが見つかるかもしれませんから。それで再度キャラクター作成を始めからやり直すのも一つの手ですよ」
なるほど。そういうやり方もあるのか。
「ただし、ランダムボーナスを行ってしまうと、この場でのキャラクターリセットができなくなるので注意してください」
そこはセリアンスロープの外見のランダム選択と同じなようだ。
何度もトライできるのならば、六が出るまでやり直す人も出てくることになるか。そんな訳でランダムボーナスは行わず、貰えた三ポイントは〈敏捷〉と〈知性〉と〈魔力〉にそれぞれ振り分けた。
「それでは今度は職業についてお話させていただきます」
「よろしくお願いします」
「はい。ではまず、職業に就くことによって発生する利点をお話しします。簡単に言いますと、職業に応じた技能の習熟速度が上昇すること、またそれら技能の効果が割り増しされること。以上の二点です」
「あれ?今の言い方からすると、職業に就かないという選択肢があるように聞こえたんですけど?」
「その通りです。『OAW』において、職業とは必須ではありません。また、無職で始めた場合でも、一定規模の大きさの町以上であればいつでも職業に就くことができるイベントが発生するようになっています。しかし、職業に就くことでのデメリットは存在しませんので、大抵の方は職業を決めてからゲームを開始していますね」
つまり、極ごくわずかながらも無職でゲームを進めている
まあ、最強の
「ただし、転職システムの実装にはいましばらく時間が掛かる予定となっていますので、よく考えて決めてもらえればと思います」
アウラロウラさん!?それ、建前の中に本音が混じってませんか!?
「と言っても現状リュカリュカさんが選ぶことができる職業はそれほど多くはありませんけれどね。俗に基本職や下位職と言われている<ファイター>、<シューター>、<マジシャン>、<クリエイター>、<サモナー>、<テイマー>の計六種類だけとなります」
そして何事もなかったかのように説明を続けているし……。
まあ、いいか。とりあえずボクも切り替えよう。
「まず、戦闘寄りのものとしまして、武器や素手による接近戦を主体とする<ファイター>と遠距離攻撃メインの<シューター>。以上の二つは物理攻撃職ということになります」
<ファイター>は剣や斧、ナックルという近距離武器だけでなく、槍や鞭などの中距離用武器を用いる人も該当するそうだ。
一方の<シューター>は弓を使う人が多いけれど、中には
「そういえば投石機を使わずに手で投げるスタイルの人もいましたね」
「まぢですか!?」
「ええ。なんでもリアルでは砲丸投げの選手だったことがあるのだとか。あ、この情報は本人から話しても良いと言われていますので、他のプレイヤーの方からも聞くことがあるかもしれません」
そ、そうなんだ……。
まあ、プレイスタイルは人それぞれだから、ね……。
「続けましょう。<マジシャン>は読んで字のごとく魔法を中心に戦う職業となります」
名は体を表す典型的なものだね。ちょっぴり驚きだったのは、ここには回復役も含まれるということだ。回復魔法や補助魔法も同じ魔法のカテゴリー内ということらしい。
「以上三つの職業が戦闘を中心とするものであるならば、<クリエイター>は生産、物作りをメインに据えた職業ということになります」
生産関連職の総称的なもので、鍛冶師も調薬師も錬金術師も農家も皆、<クリエイター>という扱いのようだ。
「これはさすがに大雑把過ぎはしませんかね……?」
「先の戦闘系の三種もそうですが、上位職になることで細分化、専門化していくことになりますので、ご心配なく。そして当然ながら専門化した上位職の方が、対応する技能へのボーナスも大きくなるようになっています」
接近攻撃職を例に挙げると、基本職は<ファイター>のみだけど、上位職になると<ソードマン>や<アックスファイター>、<ランサー>などに別れるのだそうだ。
そして同じ〔剣技〕でも<ファイター>よりも<ソードマン>の方が熟練速度も使用効果も勝っている、ということらしい。
「余談ですが、一部の上位職にはその職業専用の技能や戦闘技を習得できることがあります」
おおうっ!隠し技能!……いや、条件が緩いから隠しっていうほどのものじゃないかも?
でもでも、そうなると強力な固有技能持ちで転職条件が難しいレア職業なんてものも存在するかもしれない。そんな隠し要素を見つけるのもゲームの楽しみの一つだよね。
「さて、残る二つですが、こちらは
「???
「具体的に言いますと、こちらの職業にはボーナスが適応される技能がありません。その代わり、職業専用技能として〔
つまり戦闘をするにしてもアイテムの作成をするにしても、若干の不利になるということみたい。
「加えて、
「それは、仲間にした魔物であっても怖がられてしまうためですか?」
「それもありますが、パーティーメンバーは六人までというゲームのシステム面での都合もあります」
仲間にした魔物一体が一人分の枠に相当するのだそうだ。そのため、魔物は最大でも五体までしか戦闘に参加させられないのだとか。
まあ、仲間にした大量の魔物による物量作戦なんてやられたらゲームバランスどころの話じゃないから当然かもね。
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