発達した魔法によって廃たれた魔導具技師ですが私にかかれば世界最強の職業です〜理解されずに最強パーティから追放されたのですががが。ちな魔力世界一です〜

きつねのなにか

おはようございま……

「う、うーん、皆さんおはようございま――あれ?」


朝起きるとそこには誰もいませんでした。

女性組として一緒に寝ていたキャンやセイラはもちろん、男性の部屋にいたロラにスカルスもいない。どうなっているんですか?

途方に暮れているとホテルの従業員がやってきて「もうすぐチェックアウトの時間なので退室してくれないか」とお願いしに来ました。

急いで私物を身につけようとすると、今度は私物が殆どありません。一体何が起こってるんだ。


「え!? 家宝であるアイテムボックスまでもがなくなっているじゃない。どうなってるのー!?」


とにかくチェックアウトまでにはここを出ないと行けないよね。パーティの資金は賢者のスカルスに任せていたから持っている手持ちは少ない。こんな良いホテルの延長代金を支払えるわけがないよ。残ってる私物を拾ってすぐに退散だ!


「――で、今持っている物は魔導銃と簡易補充用具、魔導着に腰ベルト、ベルトにぶら下がってる小型空間拡張ポーチと少ない弾薬、か。それと、一枚の手紙」


手紙の内容は大雑把に言うとこんな感じです。


「ナツカ・シアリ伯爵殿。魔法が撃てない君は魔導具の補助があってもやはり無力すぎる。君は用済みだ、パーティから外しておくから領地に帰って大人しくしていると良い」


――つまり、クビになったっていうわけね。新規生成ダンジョン攻略チームのトップエース部隊「クラリス」から。

しかし追い出したってやり方が酷すぎるんじゃない?

みんなが音を立てて出て行っただろうに全然起きなかった。しかも出て行った日から丸一日が過ぎているじゃんさ。

こんなこと普通じゃあり得ない。魔法で眠らされていたと思うんだけど都市の中で魔法は放てないように制限されているの。


「ただ、市民魔法は放てるのよね。聖女ことセイラ様の魔力で放つ睡眠導入魔法なら数日は寝むれること間違いなし。セイラ・クトーカ・コルナシア公爵様め」


なんでこんなに眠らされていたかといえば間違いなく私が持っていた各種魔導具欲しさでしょう。

魔導技師の私でも難しい旧式魔導具の魔素補充が、彼らに出来るかといったらできないと思いますけど、まあアイテムボックスは補充しなくても一~二年の間は持つだろうし問題ないんでしょう。私がいる意味は殆どアイテムボックスの存在だったと言って良い扱いだったですしね。

援護してたんだけどなあ。


さて、ホテルから飛び出したはいいものの、これからどうすればいいんだろう。

アイテムボックスは家宝だから絶対取り戻したい。あれがないと領地に帰ることも出来ない。でも今すぐに彼らに会うことは出来ない。勇者であるロラ・ディオ・セルタール公爵のパーティから外されたから。上級伯爵クラスの私じゃクラリスが今攻略しているダンジョンへ入るにはダンジョン管理組合が出す特別証がいる。彼らはダンジョン管理組合及び国から保護されているから一般人になった私では接触することも難しい。


「特別証を貰うためには功績を稼げば良い。……んだけど、どうやって稼げば。安定した寝床すらないし」


未踏波のダンジョンでも踏破して功績稼ぎますか? ここは世界有数のダンジョン都市「ジョネルカ」なんですし。

ただ先立つものがないんだよねえ。

まずはダンジョン管理組合に赴いて事情の説明と安住まいの斡旋をして貰いましょうか。

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