050 ちょっと変わったスキル
風呂を上がった。二人の裸を見ないこともそうだが、周囲の他の冒険者たちに見られないようにするのも重要だった。とはいえ……案外周囲の冒険者たちは男女グループだろうと結構和気あいあいとしていた。互いに慣れているのだろうか。俺もそのうち慣れるのか……?
湯上りの二人に少しドキドキしつつも、宿の食堂へ向かうことにした。食堂はそこそこに混雑していて、どうやら宿泊客以外の客も入っているようだ。代金は一人あたり小銅貨5枚で、メニューは日替わり定食の一種類のみ。今日の献立は、鶏肉の煮込みとパンとサラダだ。こっちの世界にも野菜を生食する文化があるんだなぁ。飲み物は少しだけ渋いお茶だ。
「サラダ、意外といけるな」
「このソースに使われているつぶつぶが、ナランハの実だと思いますよ」
ドレッシングという言い方はしないらしい。確かにサラダにはオレンジ色っぽいものがかけられていて、少しだけ粒が残っていたが……なるほど、これがナランハの実の味か。ドレッシングとしてどれくらい加工されているのか分からないけど、確かに柑橘っぽい甘酸っぱさだ。これがあるからサラダが美味しく感じるんだろうなあ。なんなら葉野菜そのものはちょっと固いし。
「パンはやっぱりこういう感じなんだな」
「レックスさんのスキルで出てくるパンがよっぽど特殊ですよ」
「分かってはいるんだが。ナランハの実でジャムとかないのかな」
「ジャムなんて砂糖を大量に使うから高級品よ? 貴族の口にしか入らないわ」
ふむ。まあ、果物をそのまま食べるのが一般的なんだろう。しかし、砂糖ってそんなに貴重なものだったのか。マイホームのスキルで出てくる調味料は塩と胡椒だけだからなぁ。砂糖、ちょっと欲しいが。
なにはともあれ腹は満たされたので部屋に戻る。マリーはすぐにベッドにダイブして寝息を立て始めた。疲れていたんだろう。セフィリアはどうしているかというと、弓の手入れをしていた。弦の張り具合を確認しているようだ。俺はというと特にすることもないのでいつものごとくステータスを眺める。まぁ、スキルポイントも溜まってきたし、振り分けを考えてはいるのだが。
「ステータスオープン」
名前:タツヤ・イエイリ
年齢:25
種族:人間・男性
職業:冒険者・剣士
レベル:14
状態:通常
HP:512/512
MP:105/105
攻撃力:57(+15)
防御力:53(+37)
素早さ:45
魔法力:40
精神力:50
器用さ:53
アクティブスキル:剣技(中) 盾技(小) 水魔術(下)
パッシブスキル:鑑定(上) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(中) 盾適性(小) 魔力把握(中) 挑発(微) 料理(序) 魅了耐性(微)
装備品スキル:鑑定阻害(真)
ユニークスキル:マイホーム
称号:転移者
装備:犬狼の片手剣、補強された丸盾、混紡糸の平民服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ、隠蔽の腕輪、魔繊のマント
スキルポイント5
ホームポイント100
レベルは14になり、ホームポイントが100まで溜まった。これを使えばマイホームを拡張することができるのだが、ポイントを使い切ることに抵抗があるから、流石にもう1つ2つレベルが上がるまで我慢かな。
今度の拡張でお風呂が出来るのではと期待しているからな。お風呂用品にホームポイントを消費するかもしれないから、ここは温存だ。
あと魅了耐性というスキルに開花していた。耐性って大事だよな……なんで魅了なのかは、気にしないことにしておこう。他にはこれから先、ある程度のことに対応するために鑑定スキルは上げておいた。鑑定は目利きの上位スキルとも言われているから、戦闘のみならず商売にも有用だろう。
名前:マリー
年齢:16
種族:人間・女性
職業:冒険者・剣士
Lv:14
状態:通常
HP:410/410
MP:65/65
攻撃力:48(+15)
防御力:36(+18)
素早さ:49
魔法力:40
精神力:41
器用さ:54
アクティブスキル:剣技(小)
パッシブスキル:商才(小) 交渉(下) 回避(微) 投擲(微) 解体(下) 片手剣適性(小) 魔力把握(微) 索敵(序)
装備:鉄の長剣、簡素な革の胸当て(女性用)、簡素な革の籠手、兎革のブーツ
名前:セフィリア
年齢:48
種族:ハーフエルフ
職業:冒険者・風術士
レベル:23
状態:通常
HP:530/530
MP:570/570
攻撃力:48(+10)
防御力:63(+33)
素早さ:62
魔法力:95(+25)
精神力:86(+15)
器用さ:68
アクティブスキル:風魔術(中) 短弓術(下) 短杖術(序)
パッシブスキル:風耐性(下) 毒耐性(小) 歌唱(微) 詠唱短縮(下) 回避(序) 健脚(序)
装備:ヴェオ樫の短弓、ヴェオ樫の短杖、魔風花染めの服、簡素な矢筒付ベルト、大角鹿革のブーツ、魔晶石の指輪、精霊樹のタリスマン
マリーもセフィリアも順調にレベルが上がっている。セフィリアのレベルは当然俺たちより上がりにくいけど、出会った頃よりレベル差は着実に縮んでいる気がする。
さて、明日は素材の買い取り金とマリーの剣を受け取りにいかないとな。
ルーセイドで塩や胡椒を売って稼げたら、またフレッサで塩と胡椒を売るのもいいかな。そうだ、こっちの世界で売られている胡椒を見ておかないとな。
「そろそろ寝る、か」
気付けばセフィリアももう横になっていた。マリーが魔法の練習で火を点けてくれたランプを消して、俺も眠りについた。
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