030 依頼を受けよう

 昨日と同様にギルドは混雑していた。ギルドの掲示板に貼られた依頼を見ると、どうやら級ごとに分けられているらしい。薬草の採取とか魔物討伐とか、ちょっとした荷運びとか、そういったものが並んでいる。


「これは何の依頼なんだ?」

「ああ、これはですね……」


 マリーの説明によると、王都の学校からの要請で薬草の採集とのこと。なんでも、最近になって怪我人が急激に増えて困っているから、その原因の調査も兼ねているらしい。これは初級回復ポーションの材料となる薬草を集めるものだそうだ。


「なるほど。そういうのもあるのか。セフィリアもいるし、これがいいんじゃないか?」

「そうね。まぁ、これのついでに出来る討伐系も受注してもいいんじゃない?」


 一度に受注できる依頼の数はパーティの人数分までらしい。ということは現状三つまでは受けられる。ついでにワイルドラビットとコボルトの討伐依頼を受託した。さっそくフレッサの街を出て草原を進む。ワイルドラビットは定番の魔物だから常に討伐依頼が出されているという。皮も肉も需要がある程度あるし。


「他の冒険者もいるな。魔物を横取りしたりされたり、押し付けられないように気を付けないとな」

「はい、分かりました」


 しばらく歩いていると、マリーが声を上げた。


「あ! いました。ワイルドラビットです!」

「よし、じゃあさっさと倒していこう。俺とマリーで一匹ずつ仕留めていくぞ。セフィリアは後ろから援護を頼む」

「まぁ、お任せするわよ」


 セフィリアが風の魔術で俺とマリーの敏捷力を底上げしてくれる。ワイルドラビットは脚力がすごいから、逃げ足が速いがセフィリアのバフがあるおかげで難なく追いつける。俺たちは一気に距離を詰めると、剣を振り下ろす。俺とマリーの攻撃を受けて、ワイルドラビットが絶命する。極力一撃で倒すことで毛皮の状態を良く保てるとのこと。


「これで終わりっと。マリー、解体はどうする?」


 冒険者ギルドで解体の依頼も出来るが、節約も兼ねてマリーが解体してくれるらしい。今のうちに俺とセフィリアで薬草探しをすることにした。


「……なあ。こんな冒険者がいっぱいうろついている草原で薬草が残ってるのか?」

「こんな摘まれてしまいやすい環境でも強く生き残っているから、薬草として効力があるんでしょうね」

「……そっか。まぁ、探せば見つかるか」

「ええ。ほら、私は見つけた。これ、渡しておくから参考に見つけて」


 ……渡された薬草は濃い緑に白い小さな花をつけたものだった。エッグベアーに遭遇した森でセフィリアが探していたエルネ草とは別のもので、ドイエ草というらしい。エルフらしく薬草に詳しいセフィリアだが、自分で調薬とかはしないとのこと。


「結構集まったな。これだけあれば依頼達成だろ。あとはコボルト狩りか」

「そうですね。じゃああっちに向かいましょうか」


 マリーが指さしたのは草原の中でも草の背丈が高い、藪っぽい場所だった。……コボルト、あの辺にいるのか。

 いっちょやりますか。

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