029 目下の目標
マイホームで夕食を済ませた。今日はカップ焼きそばだった。初日以来のカップ麵だが、さまざまな味があり中には美味しいとは断言できないような攻めた商品も出るあのカップ焼きそばの、通常味だった。ご飯もパンもこうしたジャンクな麺もあるから、ホームシックというか地球を恋しく思うこともなく過ごせている。そんなこんなでひと心地ついていると、ふいに大事なことを思い出した。
「エッグベアー!」
「もう、急になにを言うかと思ったら。レックスがギルドマスターと話している時に私とマリーで報告したわよ」
「……そうか。そりゃ、けっこう時間あったもんな」
「あと、私とレックスさんが会った森で亡くなった彼らの件も報告しました。話の順番的にエッグベアーにやられたのだと勘違いされてしまったので、ちょっと時間がかかりましたけど」
エッグベアーの件はセフィリアがとっくに報告済みだった。戦闘中に亡くなった名も知らない冒険者の彼らについても、マリーがちゃんと報告してくれていたのか。
忘れてしまっていた用事がちゃんと済んでいたことに安心しつつ、取り敢えずは今後の方策について考える。正直、チートな武器とかチートな召喚獣あるいはテイムした魔物がいるわけでもないし、なにをするにもコツコツやるっきゃない。長期的な目標としてマリーの両親を奴隷から解放するというミッションがあるが、もうちょっと中期の目標もほしいところだ。そんな説明を二人にすると、
「レックスさん、うちの両親のことを本気で……嬉しいです。とっても」
正直、大金貨なんて遠い存在だと思っていたが、塩の売却でその十分の一は手に入った。まぁ、この塩の売却はそう何度も切れる手札じゃないけど。まだ胡椒があるか。とはいえ、街を変えて売却するくらいのことはしたいところだ。
「中期的な目標……それこそダンジョンとか?」
セフィリアが提案したのはダンジョンへの挑戦だった。
どうやらこの世界にはいくつものダンジョンがあるらしい。ダンジョンの奥には当然宝物があるらしく、一攫千金を目指す冒険者にとっては憧れの場所ともいえる。その分危険はいっぱいで、ほとんどのダンジョンが五級冒険者以上でないと立ち入れないらしい。例外はあるが、そのダンジョンは当然実入りが少ない。
「私もまだ六級で、レックスさんとセフィリアさんは実力はさておき登録上は七級です。まずは昇級していかないと。現状、パーティを組んでも七級パーティになってしまいますし」
ギルドに登録するパーティはメンバーの級を平均して切り上げたものが当てられるらしい。現状では確実に七級だ。
「しばらくは依頼をこなしつつ級を上げるしかありませんね。明日もギルドに行きましょう」
「そうね。そうしましょう」
マリーの言葉にセフィリアも同意する。
「まぁ、当面はそんな感じだな。ところで、ダンジョンってどの辺りにあるんだ? ここから近いのか?」
「ええ。ここフレッサから徒歩で二日ほどのところにありますよ。ただ、そこまでの道程にいくつか難所があって、そもそもそこを乗り越えられないならダンジョンなんて挑めませんけど」
徒歩で二日は近い方なんだよなぁと思いつつ、目下目指すは昇級ということになった。七級から六級になるには依頼を五つクリアすればいいらしい。
お金にもなるし、張り切って仕事するとしよう。そんな感じで話を締めくくって、そうそうに眠ることにした。
レベルさえ上げれば、もうちょっと部屋も広くできるだろうからね。頑張るっきゃないだろ。
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