009 閑話休題みたいなもの

 マリーが剣で戦ってくれるようになったおかげで、戦闘はかなりスムーズになった。複数のゴブリンを相手にしても十分戦えるし、挟み撃ちに遭う危険が減り、逆に敵を挟み撃ちにすることもできるようになった。

 俺とマリーはほぼ同じタイミングでレベル4にレベルアップした。だが、マリーの剣捌きは目を見張るものがあった。これがスキルの差ということだろうか。


「マリー、聞いてもいいか?」


 もうじき森を抜けるというタイミング、こういう時こそ油断できないから俺たちは休息をとることにした。今の部屋にはコップすらないから、初日に食べたカップ麺のカップを洗って使っている。


「スキルってどうやって成長する? どうやったら覚える?」

「そうですね……モンスターを倒して経験を積んで自身を成長させることで、スキルもおのずと成長すると言われています。また、同じ動作を繰り返すことでスキルを習得するとも言われていますね」


 なるほど……だからマリーは投擲のスキルを習得したんだ。最初に会った時には覚えていなかったスキルだが、前回鑑定した時から発生していた。あと、解体も。一定回数同じ動作を繰り返したことで、スキルとして体得したってことなんだろう。……まぁ、まだ俺のスキルに剣術はないんだが。ククリを振り回していて短剣術も覚えられなかったわけだし、おそらく反復がまだ足りないのだろう。レベルアップの時には覚えられたらいいな。


「魔法はどうやったら覚えられる? マリー、魔力けっこうあるよな?」

「え? レックスさんって鑑定持ちだったんですか?」

「……あれ、言ってなかったっけ」

「はい。鑑定は未だに習得方法が不明瞭なスキルなんです。商人には覚える方も多いですが、逆に商人だけどいっこうに覚えない人、商売と関係ない冒険者が急に鑑定スキルを習得したりと、不思議なんです」


 異世界転移したから習得してますとは、流石に言えないよな。ていうか、鑑定されたら俺の称号である転移者っていうのがバレちまうのでは……? 称号について聞きたい気持ちはあるが、ここはぐっと堪えよう。


「えっと、魔法の話でしたっけ。私もちょっと火を灯すくらいはできますけど、火魔法のスキルを習得するほどの精度じゃないですね。魔法系のスキルは地道な鍛錬か魔法学校で徹底的に教わるか、実戦の中で覚醒するか、って感じです」

「そうだったのか。マリーは物知りだな。いろいろ教えてくれてありがとう」

「いえ……」


 マリーは少し頬を染めて俯いた。…………照れてる??

 にしても、鑑定ってレアスキルの部類なんだなあ。ちゃんと育てていった方がいいかもしれない。てなわけで、これが今の俺たちのステータス。


名前:タツヤ・イエイリ

年齢:25

種族:人間

職業:無職

レベル:4

HP:174/180

MP:30/30

攻撃力:15(+10)

防御力:11(+15)

素早さ:10

魔法力:7

精神力:13

器用さ:16

アクティブスキル:なし

パッシブスキル:鑑定(下) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(微)

ユニークスキル:マイホーム

称号:転移者

装備:粗鉄の長剣、補強された丸盾、麻布の服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ

スキルポイント5


 とまぁ、こんな感じだ。剣術スキルを習得した時に備えてスキルポイントを温存しているが、そろそろ身体強化をランクアップさせようか悩む。まだ戦闘に苦しんではいないから、大丈夫だろうと思っているが……この先どんな強敵と遭遇するか分かったものじゃないからね。

 で、こっちがマリーの鑑定結果。


名前:マリー

年齢:16

種族:人間

職業:冒険者

Lv:4

HP:152/152

MP:22/22

攻撃力:11(+8)

防御力:10(+12)

素早さ:14

魔法力:15

精神力:10

器用さ:18

アクティブスキル:剣術(序)

パッシブスキル:商才(小) 交渉(微) 回避(序) 投擲(序) 解体(序)

装備:粗鉄の軽量剣、簡素な革の胸当て(女性用)、簡素な革の籠手、簡素な革のサンダル


 身体強化スキルのおかげで同じレベルでもマリーより攻守においては高いステータスを示す俺、魔法の習得は難しいらしいし、頑張って剣を覚えるよりほかないのか……。頑張ろう。

 鑑定スキルを下までランクアップさせたことで、種族の鑑定ができるようになった。ということは人間以外の種族もこの世界にはいるってことだろう。

 楽しみまだまだいっぱいあるな。


「さて、森を抜けるか」

「はい! 行きましょう!!」

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