史上最強の魔剣士と同居することになった女子高生の日常

空峰 ユイ

第1話 同居人は史上最強の魔剣士!?


 これはある事件がきっかけとなって起こったことである。

 私はいつものように学校から自宅へ下校していた時のことである。

「んっ!」

「声を出すな、言うことを聞けば乱暴はしない」

 私は誘拐された。

 その男の言う通りに車に乗って男の家まで行った。

 これから何をされるのか予想はできていた。

 でも自分だけではどうすることもできない。

 私物は全て没収され腕と足は縛られ部屋に監禁された。

 男は部屋に入ってきて私の鞄の中身を漁っていた。

 そこから男はスマホを出して撮影を始めた。

「もしお前が言うことを聞かなかったらこれをネットに流すからな」

「は、はい…」

「それじゃあは服を脱げ」

 そう言って男は縛っていた紐を解いた。

 部屋の扉は男が前にいるため開けることができない。

「早く脱げ!」

「は、はい」

 その瞬間私の鞄から凄まじい光が出放たれた。

「なんだ!?」

「あ、あれは!」

 その時一冊の本が私の目の前で開き誰かが現れた。

 その人物を私は知っていた。

 史上最強の魔剣士、サラ・ブレイン。

 私が一番好きなラノベの主人公だ。

「な、なんだ?ここは!」

「お前誰だ!人の家に勝手に入りやがって!」

「あ、あの!助けて下さい!私、誘拐されてるんです」

「なんだかよく分からんがとりあえずこの男を倒せば良いのだな」

「お願いします」

「ルミナススラッシング!」

 その瞬間男の家は半分に割れたのだった。

「すまん、少々やりすぎた笑」

「やばいですよ!何してるんですか!」

「ところでここはどこなんだ?」

「ここは日本です」

「日本?知らない地名だな」

「でしょうね…」

 あの後は警察が来る前に逃げてなんとか家に着いた。

 そして今、目の前に自分が大好きなラノベの主人公、

 サラ・ブレインがいる。

「そういえばお前の名前を聞いていなかったな」

「私の名前は春川実里奈です」

「ミリナかよろしくな」

「あのぉ…」

「なんだ?」

「今日からここに住むんですか?」

「帰り方がわかるまでそうさせてもらいたいが、ダメか?」

「い、いえいえとても嬉しいです!」

「一体なぜこの世界に現れたんですか?」

「まだ話していなかったな、私は国王の側近のカリーナ・クレベリアに転移魔法で飛ばされてしまったのだ」

「カリーナさんが?」

「あいつは国王とグルになって私たちの国を滅ぼすつもりだ。」

 私はこの話の結末を知っている。

 この本の本の結末はサラの親のはレオという同じギルドメンバーの男に殺されたことがわかりレオは魔王軍と共に王国を攻めたがサラや国家騎士たちによって倒したという結末だったはず。

 だが話が違う、まさかその後の話なのか?

「一つ聞きたいことがあるんですけど」

「なんだ?」

「あなたの仇であるレオ・クラウスはもう倒したのですか?」

「あぁ、そいつはニ年前にもうすでに私がこの手で倒している」

「ニ年前!?」

「お前は知らないのか?」

「はい、私が知っているのはレオを倒して王国に平和が戻ったというところまでで」

「ん?ところでこの本は?」

「こ、これは…」

「私ではないか!まさかこの世界では…」

「物語の中の人ということになってます」

「そうなのか…」

「そうだ、サラさんご飯食べますか?」

「良いのか?」

「もちろんです!」

「ミリナの飯は美味いな!」

「そうですか?ありがとうございます!」

「サラさん先にお風呂入って下さい私はあとであとで入るので」

「風呂?なんだそれは」

 そうかサラさんたちの世界ではシャワーや風呂はないのか。

「体や頭を綺麗にするところですよ」

「この世界には色んなものがあるな」

「おぉ!凄いなミリナ!ミリナも一緒に入ろう!」

「えっあっちょっと!」

「あぁ気持ちいい…」

「風呂はいいなミリナ!」

 サラさん嬉しそう。

「サラさんはあっちの世界では魔王軍を倒したあと誰と暮らしていたんですか?」

「私は獣人族のレフィリアと魔族のエリーナの2人と一緒に旅をしていた」

「旅ですか」

「旅から帰ってきたら国王とカリーナが市民たちを奴隷のように使っていたんだ。それで私たちは彼らに反発したところこの世界に飛ばされてしまったということだろう」

「じゃああとの2人もこの世界に飛ばされているかもしれないんですか?」

「そういうことになるな」

「ごめんなさい私は学校があるので探すのは手伝えなくて」

「ミリナが気にすることではない。私たちの問題だよ。それにこの家に住まわせてもらってるしね。」

「あぁサラさん」

「どうした?ミリナ」

「街歩くときその格好はまずいので私の服をきてください」

「そんなまずいのか?」

「はい、多分頭おかしいやつだと思われてしまうので」

「そうなのか…」

「この世界では魔族や魔獣など存在しないので戦ったりしないんです。」

「なるほど、平和な世界なのだな」

 そして翌日

「おはようございますサラさん…ってもう八時?やばい遅刻

 だぁー!」

「はぁはぁはぁやっと着いたぁ…」

 昨日三時まで起きていたせいだろうかまだあまり疲れも取れていない。

 そして昼休みになりお弁当を食べていると、廊下の方が何やら騒がしい。

「ミリナー!おーい!ミリナー!」

 まさか!

「ミリナちゃん!変な女の人がミリナちゃんのこと読んでるよ!」

 まずいことになった…

「あぁいたいた、ミリナの後を着いてきた」

「なんで来ちゃうんですか!」

「学校とやらを見てみたかったんだ」

「あの女の人新しい先生かな?めっちゃ胸デカくね!?」

 男子たちがこそこそと話している

「ミリナ、何やらさっきから男どもに見られているのだが」

「サラさんがそんな格好で学校に来るからですよ!」

「ちょっとミリナさん!この方は誰なの?」

 先生が来てしまった。

「えっと…」

「姉です」

「ちょっとサラさん!」

「ミリナさんのお姉さんが何のようですか?」

「えっと今日この後病院に行く予定で…」

「そうなら朝に連絡して下さいね」

「はい…」

 何とか乗り切った…

「気をつけてくださいね」

「うむ、気をつける」

 そんなこんなで私と史上最強の魔剣士サラ・ブレインの同居生活が始まったのだった。


 

 

 

 

 

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