第18話 女に惹かれてテイムされた男:ホブゴブちゃん

 ホブゴブちゃんはまだ立ち直れていない様子だ。


 「ゴブゴブゴブ。ゴブゴブゴブ」(ホブゴブリン。俺らと一緒に来ないか?)


 正直、ここで倒してしまうのも可哀想だ。


 また、ダンジョンの魔物と意思疎通がとれるのも珍しい。


 テイマースキルでテイムするには……


 ①魔物と戦い、魔物に認めてもらう

 ②食料をあげて、懐いてもらう

 

 上記2つの手段が主なテイムの方法だとされてきた。


 もちろんその過程に『会話』による意思疎通はなく、人間側の言葉に魔物が反応するだけの一方通行だった。


 しかし、変身スキルで、同じ魔物に変身すれば、会話が可能であるという新たな発見を得たのである。 


 『ゴブゴブゴブ……』(サッキノオナゴトマタアエルノカ?)


 「ゴブゴブゴブ」(会えるよ)


 『ゴブゴブゴブゴブ!』(ナラツレテッテクレ!)


 「ゴブゴブ」(了解)


 女のためにテイムされた哀れなホブゴブちゃん。生放送を見ている30万人にその勇姿はどう映ったのだろうか……。


 テイムするため、俺は元の姿に戻る。


 それと同時にみんな駆け寄ってきた。


 「どうなったの?」


 「ホブゴブ穂乃果が忘れられないからついてくるって」


 その瞬間、穂乃果は落ち込み、コメント欄は沸いた。


 「そんなぁ。ひどいよ〜」


 「週に1回とかでいいからさ。お願いできない?」


 「ちょっとだけだよ。ちょっとだけ」


 なんとか穂乃果に納得してもらい、ホブゴブちゃんと向き合う。


 「準備は大丈夫?」


 『ゴブ!』


 ホブゴブちゃんは勢いよく頷き、頭を下げた。


 「テイム」


 手のひらをホブゴブちゃんに向け、そう呟く。


 一瞬の眩い光が辺りを照らし、その瞬間、頭に声が響いた。


 【ホブゴブリンのテイムに成功しました。名前をつけてください】


 天の声とも言われる正体が謎の声。


 未だ解明はされていない。


 ダンジョンマスターなのか、異世界の神なのか、そこら辺はどうでも良い。


 とりあえず名前だな。


 ホブゴブちゃんでいいだろう。


 いいよね?


 ……納得してくれたみたいで、名前はホブゴブちゃんに決まった。


 この結果に、コメント欄は大興奮だ。


 中ボスがテイムできること、魔物と意思疎通できること、俺がテイムスキルを持っていることetc.


 興奮が収まらない中、お待ちかねの宝箱だ。


 普通はボスを倒せば、宝箱は現れるのだが、テイムしてもそれは同じらしい。


 皆、初めての宝箱だ。ソワソワするのも無理はないだろう。


 ホブゴブちゃんを率いて、宝箱へ向かった。


◆◇◆◇<information>◆◇◆◇

 明日は17時投稿のみになります。

 引越しや、それに伴う手続き等で校正する時間が取れません。

 すみません。

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