第17話 ホブゴブちゃん:穂乃果のモテ期

 ホブゴブちゃんとホブゴブちゃんに変身している穂乃果は未だ「ゴブゴブ」言いながら会話している。


 友美は穂乃果のそばに居るが、特に攻撃してこないと判断したのか、ナイフは下ろしている。


 俺も変身して、ホブゴブちゃんと穂乃果の元へ向かう。


 「ゴブー。ゴブゴブ」(穂乃果。どうした?)


 「ゴブ!ゴブゴブゴブゴブ」(リーダー!このホブゴブが結婚してくれって煩いんです〜)


 『ゴブゴブ!ゴブゴブゴブ』(キミにヒトメボレした。ケッコンして)


 「ゴブ!ゴブゴブゴブ」(嫌です〜!私は人間なので)


 どうやらホブゴブちゃんは変身した穂乃果に一目惚れしたそうだ。


 口をあんぐり開けて驚いていたくらいだから、人間ってことは理解しているはずだが……。


 後、魔物にも性別があることは初めて知った。


 “こいつらゴブゴブしか言わんからなに言っとるかまったくわからんな”

 “まじわからんw”

 “放送事故だろ”

 “ダンジョンの魔物って自我あるんだな”

 “確かに。問答無用で襲ってくるから自我ないもんだと思ってた”


 「ゴブ。ゴブゴブゴブ」(穂乃果。変身時間もうそろそろ終わるんじゃない?)


 「ゴブ!ゴブゴブ」(確かに!もう少しで解けます!)


 「ゴブゴブゴブゴブ」(そしたら諦めてくれるよ)


 「ゴブゴブ!ゴブゴブ」(そうですね!あ、解けます)


 その瞬間、穂乃果は元の姿に戻った。


 “あ、穂乃果ちゃん元に戻った”

 “あれ?なんか成長してね?”

 “確かに。顔幼かったもんね”


 穂乃果は普段から謎に高校生時代に変身している。


 スキルレベル上げには最適だが、人生で1番顔に自信があるのが高校生時代なんだそうだ。


 『ゴブゴブゴブ!ゴブゴブ』(アレ?ウツクシキドウホウがイナクナッタ)


 「ゴブゴブゴブ」(元に戻ったんだよ)


 ホブゴブちゃんがゴブ穂乃果がいなくなって慌ててたので事実を教えてあげたのだが……。


 両膝と両手を地面につけ、落ち込んでいるではないか。orz状態だ。


 俺も変身を解き、元の姿に戻る。


 「いや〜衝撃的だったね〜」


 「本当にな。モテてよかったじゃん」


 「ゴブリンだけは嫌!」


 まあ、肌の色含め、嫌悪感あるのはわかる。魔物だしね。


 「それで、あれどうするの?」


 穂乃果は未だorz状態のホブゴブちゃんを指差し、意見を求めてきた。


 「どうしよ。あの状態のホブゴブちゃんに攻撃できる?」


 失恋(?)し、うち惹かれているホブゴブちゃんに攻撃する気分でもない。


 魔物を連れて一緒にダンジョンに潜れる『テイマー』というスキルは存在する。


 一部、もふもふを愛する”モフラー“がテイムスキルを覚えるため、ダンジョンを駆け巡っているのは知っているが……。


 「連れて帰る?」


 「そもそも、ボスってテイムできるの?」


 「わからん。試したことないや」


 一応、俺の創造スキルでテイムスキルは取得済みだ。


 過去に、偵察用に蝙蝠をテイムし、使役したことがある。


 「でも、ゴブリンでしょ?あんまり気乗りないわね」


 「……ちょっと嫌」


 女性しかいないから、ゴブリンに抵抗感しかないのだろう。


 「でも、あのホブゴブちゃんは穂乃果に惚れているから、他のみんなに危害は及ばないんじゃない?」


 どうせ、倒さないと次に進めない上に、配信中でもある。


 中ボスをテイムするという前代未聞の出来事を生配信で行い、知名度も向上させたい所。


 穂乃果には悪いが、犠牲になってもらいたい。


 「……確かに」


 「わ,私もアリな気がしてきました」


 「確かに。剣術スキル持っているし、有能かもしれないわね」


 非戦闘スキル持ち限定クランだが、魔物はノーカウントとするか?迷うけど、テイムモンスターは常に連れて歩くわけではない。


 「みんなひどいよ〜。私の気も知らないで〜」


 すまん!……心の中で謝りつつ、ホブゴブちゃんの様子を伺う。


 未だうち惹かれている様子だ。


 ホブゴブちゃんに元気になってもらうため、俺はホブゴブちゃんの元へ向かう。

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