Side :『付与』スキル持ちの少女

 私は高校3年生の美咲みさきと言います。


 18歳になってようやくダンジョンに入ることができるようになりました。


 ラノベやアニメの世界の物だと思っていたダンジョンが現実に!とテンションが上がったのは言うまでもありません。


 私に与えられたスキルは『付与』でした。


 付与スキルと言えば、武器に付与したり、他人に付与したりするイメージでしたが現実は無惨でした。


――――――――――――――――――

『付与』

 ・MPを消費して、対象者の身体能力を向上させる

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 受付の人に鑑定してもらって、スキルの効果を聞いても意味不明でした。


 対象者に付与ってことは自分には付与することができないのでしょうか?


 つまり、誰かとパーティーを組まないと意味がありません。


 しかし、世論は寄生することを拒んでいます。


 ゲームならまだしも現実ならなおさらです。


 私にはダンジョンに入ってお金を稼がなければらない理由があります。


 ありきたりですが、私には両親がいません。


 身元引受人は祖父母です。


 祖父母ももう働ける年齢ではありません。


 弟もいます。小学3年生の可愛い弟です。


 なので、大学にも行かず、就活もしないでダンジョンで生活費を稼ごうと思っていたのですが……。


 

 しばらくして、新宿冒険者支部にてクラン創設の発表がありました。


 新宿支部は東京で唯一クランを創設していなかったことで有名でしたが、遂に創設したみたいです。


 募集条件は……。なんと!非戦闘スキル持ち限定ではないですか!


 しかし、よく考えてみると怪しい気もします。


 なんせ戦闘スキル持ち至上主義な現代で非戦闘スキル持ちを集めることには何か裏がある気がします。


 しかし、なりふり構っている場合ではありません。


 私にはお金を稼ぐ必要があります。


 私は居間でテレビを見ているおじいちゃんに声をかけました。


 「おじいちゃん。新宿まで行ってくるね」


 「何かあったのか?」


 「ううん。支部まで行って話聞いてこようと思うの」


 私はおじいちゃんにクランのことを話しました。


 「そうか。やる気はあるみたいじゃな」


 「うん。これが最後のチャンスだと思うの」


 そう。最後のチャンスでもあり賭けでもある。


 「なら行ってきなさい。応援しとるよ」


 「うん!ありがとう」


 一家で働けるのは私だけ。不安な顔は見せれない。


 私はおじいちゃんに心配をかけないように笑顔で家を出ました。


 目指すは新宿支部!


 不安しかないけど、迷っている暇はないのです。


 これでダメだったら普通に働くことも視野に入れています。


 私は美咲。後に世界最強付与術士になる女です。


 

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