国内唯一のS級冒険者、不遇スキルを最強へと導く

しょーちゃん

プロローグ

ダンジョン発生:新たな時代の幕開け

 全世界に突如現れた『ダンジョン』。


 これまで築いてきた伝統や歴史を一新させ、ダンジョンを中心とする国家が後を絶たない世界……。


 ダンジョンでは、魔物から取れる『魔石』が新たな燃料となることが判明し、積極的にダンジョンに入るようになった。


 その裏では、某人権団体が反対運動を起こし、『冒険者法』なるものが策定するまで国家関係者のみでダンジョン攻略を行なってきた。


 ダンジョンが現れた3年間の間で法整備、魔石研究を行い、5年目でようやく民間人がダンジョンに入ることが許可された。


 『冒険者法』は要約すると下記のようになる。

  ①満18歳以上からダンジョンに入ることができる。

  ②ダンジョンに入るには、講習にて法の理解、武器の使用訓練、スキルの獲得を行った上で冒険者証を付与された者に限る。

  ③魔石は基本的に売却すること。(自分で使用する際は申請すれば売却しなくてもよい)

  ④ダンジョン外での武器の所有・使用は冒険者証の永久剥奪及び逮捕。

  ⑤ダンジョン内における魔物以外への武器の使用及び非人道的行為をした場合は③と同様の措置をとる。

  ⑥………。

  ⑦………。


 これらのことから、民間人がダンジョンに入るには、各都道府県に設置された『冒険者本部』及び各市区町村に設置された『冒険者支部』において、講習を受け、武器の使用訓練を受けた後に、実際にダンジョンに入り、モンスターと対峙することとなる。


 スキルは、初めてダンジョンに入った時に自動的に付与され、今後はダンジョン内に配置されている宝箱や、モンスターから稀にドロップするスキル書を用いることとなる。


 この初期スキルを巡って、『戦闘スキル』と『非戦闘スキル』における差別が顕著になるには時間はさほどかからなかった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ダンジョンが地球に現れて10年が経過した。


 初めはダンジョンに入り、魔物を倒すことに躊躇していた者が大半であったが、高所得者が冒険者で占められていることもあり、徐々に活発化した。


 そんな中、国内で初めて冒険者ランクがS級に到達した者が現れたというニュースが国内外問わず広がりをみせた。


 曰く、ソロ冒険者である……。


 曰く、5年でSランクになった……。


 曰く、その顔は一部の関係者を除いて誰も知らない……。


 など、噂が広まり、注目を集めた。


 冒険者ランクは……

 ・S級……バケモノ。人外扱いを受ける

 ・A級……天才。お金持ち。

 ・B級……小金持ち。

 ・C級……普通。

 ・D級……祝!脱初心者。

 ・E級……初心者


 上記のようになっており、5年でS級にあがるのはあり得ない、不正だという輩も存在した。


 そんな国内最初のS級になったのが、この物語の主人公である『てんごう まさ』である。


 身長が190cmあり、短く整えられた黒髪、切れ長の目を持つイケメンである。


 ダンジョンが現れ、ダンジョンに入ることができるようになった時、18歳だった彼はすぐにダンジョンに入り、メキメキと頭角を表した。


 そんな彼が誰にも正体を掴まれず、S級になったのにはスキルに恵まれていたからである。


 それと同時に、『戦闘スキル』が優遇され『非戦闘スキル』が冷遇されている現状に不満を常に持っていた彼はS級になったと同時に動き出す。


 『非戦闘スキル』が輝く時代を目指して、国内唯一のS級冒険者が新たな時代を創り上げる物語が今始まる……。

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