【KAC20231】最強中学生伝説☆バトル・ザ・ファイトギャラクシー ~本屋で遭遇エビ怪人編~

竹神チエ

第1話 伝説の幕開け

 中学二年の本戸菅蔵ほんとすげぞうは隣町の本屋にいた。


 近所にある本屋が次々と撤退してなくなってしまったから、という世知辛い理由からではない。購入したかった本が少々気恥ずかしいものだったからだ。


「売り切れじゃなくて良かった! さっそく読んじゃおうっと」


 店から出てすぐ買ったばかりの本を開く菅蔵。


 ライトノベルだ。タイトルは『なんやかんやで!』。

 ジャンルはいうならばBLだ。ボーイズのラブなのだ。


 だからこの菅蔵。少し恥じらい隣町くんだりまで来たのである。クラスメイトにでも見られたら、ちと恥ずかしい、とか思って。


 でもそんな生半可な覚悟でBL本を購入したのが災いしたのか。それとも単純にながら読みしながら歩こうとしたのが悪かったのか。菅蔵、何かにぶつかりそうになり慌てて顔をあげる。


「え、エビ?」


 目の前にエビだ。エビ男だ。


 けれども火が通る前のエビのようで、赤ではなく灰色をしていた。ということは、もしかしたらエビ男ではなくシャコ男だったか? 


「我こそは車エビの化身。轟エビ太郎!!」


 やっぱりエビだ。しかも車エビだ。


 どちらにせよ、このエビ男。エビでいうところのあごの下あたりに穴が開いていて、人面がのぞいているのだった。つまりエビの着ぐるみなのである。


 白タイツを装着した男が、エビの着ぐるみを着ているのである。男はサングラスをしていたし、タイツの下からはうっすらすね毛も見えている。


 と、エビ男が突然両手を突き出すと叫んだ。


「エビエビ・スプリンクラーー」


 噴射する水。菅蔵はビショビショになってしまった。

 あ、しょっぱい。なんと海水だ!


 

☆次回予告☆

春の陽気に誘われてエビの仮装をしている変質者だと思ったエビ男だが、実は異世界に繋がるゲートから飛び出してきた謎のエビ怪人だった!?


せっかく買ったBL本が濡れて激怒する菅蔵。と彼の髪が逆立って……。

第2話『おれがハンターだって!?』

お楽しみに!

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