第33話

 食事を済ませた後、僕たちは仏堂の間にて集まり、これからの会議をすることになった。


「さて、これからのことですが……」


 僕は息を飲む。これから……するとつまり……。


「あなたのご想像通り、ミロクにはこれから仏陀の時代に行ってもらいます」


 ……やっぱり。


「しかし、観音様。私はまだパーピマンのやつを倒してはいませんよ?」


「大丈夫です。あなたはこれから、仏陀の時代に行ってもらい、仏世尊の弟子になってもらいます」


「弟子!? 私がお釈迦さまの直弟子にですか!?」


 そういうこと。と観音様はカラカラと笑っている。


「あなたにはこれから、竹林精舎という修行場に行ってもらいます。お釈迦さまから直々に学び、経験を積み、精進するのですよ」


 一体何のために!?戦国時代の後はお釈迦さまの時代で修行ですか。はあ……。


「文句言わない! お釈迦さまから直に学び、首席を勝ち取るくらいにはなってください」


 ……だめだ、この勢いは止められないパターンだ。やっぱりこうなったか。僕は苦行だけは嫌だって言ったのに……。


「それともう一つ。ミロクには元の年齢まで戻り、比丘として活動してもらいますが、チカにも比丘尼として私と一緒に修行してもらいます」


 元の年齢まで戻り?なぜ?


「元の年齢まで戻る理由はなぜでしょうか?」


 すると観音様は微笑まれて言った。


「大した理由はありません。ただチカにもあなたと同じ年齢になってもらいます。これは夢の中なんですからそれくらいは私の力でなんとかなります。いいですか、ミロク。お釈迦さまには未来から来たということは伏せて置いてくださいね?」


「わ、わかりました」


 するとチカが目を丸くして観音様に尋ねる。


「……ミロクが元の年齢に戻るとはどういったことですか? 観世音様?」


「あー、今のは忘れてください……いいですか? ミロク。それではそろそろ向かいますよ」


 そうして僕らはお釈迦さまの時代のインドのカピラヴァストゥに向かうこととなった。一体何が待ち受けているのか。奇想天外な物語が待っているに違いない。僕はこれから待ち受ける災難と、世にも奇妙なサスペンスが起こり得る、あらゆる満載な想像をしたのち、観音様と千佳と一緒にタイムリープの準備をするのだった。


「ミロクー。俺の大人の姿を見ても変な気は起こすなよ?」


 ……。


「わ、分かってるよ! ほら、じゃあ行く準備をするよ。腕時計を二十五にセットして……じゃあスイッチを押すよ?」


 ーー


 ぐわん、ぐわん、ぐわん。


 不思議な感覚が僕を包む。お釈迦さまに会ったら何を言おうか……。僕は大変なことがこの身に降りかかる不安と同時にどこか嬉しい感情がこの身を包んだことを不思議に思いつつ、眠りにつくのであった。

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