ザルグ・ゼルム

北山'sカシス・オレンジ

序章 エピローグ0 〜ようこそザルグ・ゼルムへ〜

           ☻



シャロ。

この手記を見つけ、読んでくれた人物に感謝する。それと同時にあなた方の幸運と神々の加護があるように祈っている。


これは私たち親子が故郷・日本より「異世界ザルグ・ゼルム」…に転移し、そこでの生活の一部始終を記録したものである。


「ザルグ・ゼルム」


これは自然とギーア魔素が豊かなこの土地の名称であるとともに、 大  であるため    により、決して口にしてはならない。


もし、私たち親子の様に地球よりこの世界に迷い込んだ者がいるのなら、私たちと同じ結果にならないためにこの手記を五つの地球言語で書き記そうと思う。



まず初めに、異世界人ゼルム人は外部の者を嫌う。これはどの世界でもあたりまであるが、どうかわかって欲しい。彼らはとても臆病な人種である。外部を嫌うのは身を守るためのすべであるため嫌わないでやってくれ。むしろ彼らと打ち解けあう事ができれば、とても大きなアドバンテージになるだろう。その為にも、一日でも早く異世界語ゼルム語を習得する様に心がけてくれ。ゼルム語が話せるのとそうでないのとは、この世界の難易度が全く違う。


いくつか、教えてあげよう。まず挨拶は「シャロ」と言う。時間帯に関係なく一日中「シャロ」だ。次にーーーー。


さて、この土地の人々は皆神を信仰している。そうだ全員だ。そして気を付けてほしい。決して彼らの信仰するものを否定することも愚弄することもない様に。本当に殺されかねない。私はこれが原因で子供を殺されかけている。


この世界に来て最も驚いた事の一つであるが、なんとこの世界には本当に神が存在している。実態のある本物の神だ。この世界の神は一人であり三人である。今この文を読んで混乱していると思うが、文字通りに受け入れてくれ。一つの体に三つの人格、魂と表現することもできる。世界のことわりとは別の次元で存在しているため常識が通用しない。彼らは、自ら創造した世界を常に旅に出て満喫している。万が一出会う事があっても粗相のない様に。見た目は    であるためゼルム人の  と見間違いやすい。常日頃から他者には親切にする様に心がける事を約束してくれ。


次に、この世界と我々の世界との決定的な違いを説明しよう。それは、魔法の存在だ。この大地には特殊なエネルギーで満たされており、マギーアと呼ばれている。そしてこのマギーアによって彼らの文明が支えられている反面、科学というものが全く存在しない。文明レベルで言うと日本の三世紀、縄文時代から弥生時代あたりが近い。つまり、現代人である私たちから見ればザルグ・ゼルムの文明レベルは、かなり低くなっている。


水を分解して水素と酸素が出来る事も知らないのだ。だが、そんな事を知らなくてもすべてを魔法で補う事ができてしまうため生活が成り立ってしまう。


さて、ある程度この世界については説明できたと思う。ここからは私の体験したことを事細かに記してある。願わくば、どうか貴方が私の様な失敗をせずにこの世界で健やかに暮らして欲しい。


ファーストペンギンは私が引き受けた。生活に必要な知識や技術、情報などをこの手記から盗み取るといい。

それでは良い異世界生活を…。シャロ。



           ☻


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでくださりありがとうございます。

よかったら次回も、読んでみてください!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る