第6話 何度でも蘇れるカーカ

 カークスのオーラが増大していくのが感じられる。恐らくサディがマグマ魔人を倒したのでもう一つの首が復活しつつあるのだろう。


 うー、なんか気持ち悪い。双頭の蛇みたいな姿になってきたんですけど。


「アイツ等まさか、二つの首から同時に火炎魔法、放ってきたりしないですよね?」


 ひょうは苦笑いを浮かべながらそう言ってくる。


 一つの首から放たれる火炎魔法でもあれほど強力なオーラを感じたのだ。それが2倍になって襲ってくるなんて考えただけでもゾッとする。


 首の根本から伸び上がってきた突起物は同じくトカゲの顔のような形になり出した。が、進化はそこで終わらなかった。


 トカゲ状の顔はシャープになり牙が生え出してくる。両方の首ともワニのような面構えになり、ツノのような突起物も盛り上がってきた。


 首も伸び上がり、ステゴサウルスの胴体にキリンの首が二つ生えているような形状へと変わった。


 そして口を大きく開きオーラを集中させ出した。


 攻撃が来る!


 元々あった首から火炎魔法が放たれる。


 そして新しく伸び上がってきた首からは渦状になった赤い炎が放たれてきた。


 2つの魔法は空中で合体し巨大な火災旋風となって襲いかかってきた!


 ひょうもオーラを高め凍結魔法を放つ。


 ひょうのオーラを吸い上げた凍結魔法は怪鳥と化し、カークスの大火災旋風と衝突する!


「くぅー、凄い、プレッシャー!さっきは押し込めたんですけどね!」


 ひょうのオーラとカークスのオーラが空中で衝突し拮抗する。


 首が一つの時は押し込んでカークスを氷の像にさせたみたいだが、流石に今回はそう簡単にはいかない様子だった。


「私も手伝う!」


 ひょうとカークスの衝突に手を貸そうと思った、その時だった。


『我兄のディザーブファイヤーを止めるとは!我の事を吹き飛ばしただけのことはあるな!だが小僧!その小さな体ではいずれ我兄の餌食になることだろう』


 カーカめ、タイミングが悪い時に復活してきやがって!


「姫さま、このまま何とか抑え込んでみます」


「ええ、頑張るのよ」


 とは言っても流石にそう長くは耐えられるとは思えない。さっきもやれたんだ、今度は瞬殺してひょうの援護に回らなくては。


「餌食になるのはあなたの方よ」


『何ーっ!』


「何回出てきても、私にボコられるだけなんだから、引っ込んでなさい!」


『小娘の分際で生意気な!あまり調子に乗るなよ!この場には無限のマグマがあるということを忘れるな。我は何度も蘇る。しかし貴様はどうだ?我に一度でも負けたら復活できるのか?』


 その言葉に言い返すことができなかった。


『それが神と人間の大きな差だ。人間は神に絶対に敵わないのだ。今度こそ我の使う魔法で死に絶えろ!』


 確かにそうだけど。でも、負けなければいいだけ。私は大きく息を吸ってオーラを高め攻撃に備える。


『グリーンスピネル』


「!!」


 何?体から力が抜けていく?


『グリーンスピネルは生命力の象徴、貴様に血を流させるのは危険とみた。我の放つグリーンスピネルにより生命力の源、オーラを吸い取ってくれるわっ!』


 冗談じゃない!


 ただでさえオーラを消耗して立っているのがやっとの状態だというのに、吸い取られてたまるものか!


「奪い取られるくらいなら、こちらから叩きつけてやる!」


 私は血の霧を広げ旋風を起こす。


『何ーっ!グリーンスピネルが破壊されるだとーっ!』


「くらえーっ!血風魔法!」


『何!?何が起こった?そうか、そういうことか、どうやら力不足だったようだな。自分の周りに血の霧を広げ、旋風を起こし相手を吹き飛ばす算段だったようだが、我には届かず、我のグリーンスピネルを吹き飛ばす程度の威力しか出せなかったようだな?そして力尽きたか?今の貴様はただ立っているだけの木偶人形だな』


『今の貴様は我の次の一撃で簡単に消し飛んでしまうことだろう』


「姫さまー、しっかりー!」


 ひょうの声が聞こえてくる、そして東側の支柱のオーラが高まっているのが感じられる。きっとサディが復活させているのだろう。


 皆んな頑張っているのに、私はここで終わるの?


 終われないよね?


『何!?先ほど小娘の血を吸ったブルースピネルが、転がり広がっていくだと!?』


『何!?今度は小娘に砕かれたグリーンスピネルも広がっていくだと?なんだ?何が起こっているんだ?』


「ブルースピネル、グリーンスピネル、どちらも私の血を浴びている。そして二つが地面に広がり形どった模様を見てみなさい!」


『何だと!?これは五芒星!?』


「強力なエネルギーを発する五芒星はきっと私の力となってくれるでしょう」


「ペンタグラムブラッドーっ!」


『ぎゃーっ!!』


 ざまーみやがれ!お前なんか何回出てきても同じなんだよ。


 ひょうの方に援護に行かなくてはならないのに、体が動かない、、。


「私に任せておきなさい!」


 その時、サディが飛び込んできた。


 サディのオーラが増大していく。


 氷の壁を出現させカークスを覆っていくようだった。


「何をするつもりなの?」


「姫さま、見ててください、私の真の実力をっ!喰らえー!とーけつー、ま、ほー!」


 サディの凍結魔法が氷で覆った中に広がり、カークスは一瞬にして氷の像と化してしまった。


「凄い!」


「見たかーっ!」


 サディのただでさえ美しい顔が、笑顔を満面に浮かべたため更に美しい顔となっていた。


「サディ!ナイスタイミング!血管ブチギレるかと思ったよ!」


 ひょうも無事のようだ。


 ふぅー、なんとか急場をしのぐことができたようだ。


 皆んな本当に凄いよ!

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