夢で出会ったあの子と

リゲル

1、夢

「ねぇ、父さん?」

「ん?」

「夢、みた」

「ほぅ」

「なんか、知らない子と」

「うん」

「遊園地行って、すごい遊んでた」

「楽しかったか?」

「うん」

「そうか」

「うん」


「ねぇ、お父さん」

「ん?」

「ぼくに母さんはいるの?」

「…」

「あ、ごめん、なんでもない」

「おう、父さんこそごめんな。

 お前の家族は、俺と前田さん。それだけだ。」

「そうだよね、ありがとう」


「朝ごはん食べて、早く学校行け」

「うん」



◆ ◆ ◆



ぼくの名前はダイチ。

小学六年生。

物心ついた時には、「うちには母さんはいないもの」と

教えられてきた。

でも年頃の男の子には、

流石にそんな嘘も叶わないわけで。

なんだか最近、母さんについて考えてばかりいる。


あぁ、そうそう。

今朝みた夢。

それがね、

見知らぬ女子と遊園地行って遊んでる夢だった。

それだけじゃ変態だと思われるかもだけど、

でもなんか違った。

その子とはなんとなく結ばれているところがあるというか、

彼女と性格に似通ったとこがあるというか。


っていうか第一クラスの女子はあの子みたいに静かじゃないし。


…うーん。わからない。





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