✪ ストーリーライン ✪

▪ 雑誌のインタビューで「テディが自分に本気で惚れていたことなんてないかも」と云ってしまったルカ。

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▪ 失言が原因で喧嘩をしてから、テディはずっと不機嫌なまま、ルカとの仲はほとんど口も利かない状態まで拗れていた。

 ロンドンで行われるチャリティイベントのためのリハーサル中、ふたりはちょっとしたことからまた言い合いを始める。不満を爆発させたテディはルカに突っかかろうとして、機材のケーブルに足を引っ掛けステージから転落してしまう。

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▪ 救急車に同乗したロニーに呼ばれ、ルカはあとからひとり病院に駆けつける。ロニーの口調から最悪の状態を想像したルカだったが、テディはベッドの上に半身を起こしていて、思ったほどのことはなかったのだとほっとする。

 だが、気を緩めたルカに対し、テディは「あなたは誰ですか、俺の知り合いなんですか……?」と尋ねる。

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▪ バンドのメンバーたちにも、テディが記憶を失ったことが伝えられる。

 ロニーは皆を連れ、ファストフードのランチを持ってテディを見舞う。食べ物の好みなどに変化はなく、チェコ語など憶えていることもあるとわかり希望を持つジェシやドリュー。

 テディは見舞いに来ないことから親について尋ね、いないのだとわかると暗い顔に。そのすぐあとソファに倒れこみ、頭痛を訴える。

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▪ テディがあんなことになったのは自分の所為だと己を責めるルカ。しかし、昔のことなどに考えを巡らせたあと、ルカはテディの記憶がたとえ戻らないままでも、今までどおりふたりで暮らそうと心に決める。

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▪ だがテディは、記憶のない状態の自分には、恋人としてルカに面倒をみてもらう資格などないと、頑なな態度をとる。ルカは、一緒に暮らしているフラット以外に帰る場所などない、独りにはできないと説得を続ける。

 そこへノックの音。思いがけず訪ねてきたのはルカの両親、クリスティアンとアドリアーナのふたりだった。

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▪ 事件を起こしてテディとともに放校され、電話で勘当を言い渡されてから母と話すのは八年と七ヶ月ぶりのルカ*¹。クリスティアンは、ルカの人生は君に狂わされたのだとテディに話す。驚き、話を止めさせようとするルカ。

 しかしクリスティアンは、散々迷惑ばかりかけられているのに、ルカはまだ君と居続けようとしてる、重荷に感じるようならとっくに離れているさ、とテディに遠慮する必要はないと説く。

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▪ 病院内のカフェで母と話をするルカ。和解し、もう寿命を迎えたペットたちのことを聞いて、経った年月を実感する。

 クリスティアンのおかげか、変に遠慮せず気を許してくれるようになったテディ。その様子を見て医師は、催眠療法ヒプノセラピーを試そうと云ってくる。

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▪ しかし、催眠療法はうまくいかなかった。医師は過去のトラウマが邪魔をしているのではと云う。ロニーとルカは、そのトラウマとなっている事件について心当たりを話す。それを聞き医師は、個人的には無理に思いださせる必要はないのではないかと思う、と云う。

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▪ 苦しそうなテディの様子と医者の意見に、ロニーは本当に思いださせないほうがいいのか、その場合バンドはどうなるのかと思い悩む。しかしルカはそんなロニーに、プラハで良い病院を探してくれと云う。自分が面倒をみるときっぱり云うルカの頼もしさに、ロニーは任せてと頷く。

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▪ ジー・デヴィールとはゆかりのない、とある家族の話。

 プラハから約二十五キロ離れたクラドノという街で、単身で暮らしているミレナ。今は別居しているミラン(ミレナの男性名)の妻、ハナは、電話でミランにもう仕送りは要らない、女言葉で話さないで、息子アンドリン(アンディ)に必要なのは父親だ、女装しているおかしな人じゃないと云う。ミレナは家族として本当の自分を知ってほしかったのだと話すが、ハナにはなかなか理解されない。

 ミレナは、アンディの誕生日に会えないかと訊くつもりが、そのタイミングがないまま電話を切られてしまう。

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▪ プラハに戻り、自宅で過ごすルカとテディ。ルカはバンドのライヴビデオを見せたり、好物を食べさせたりと甲斐甲斐しくテディの世話を焼いていた。

 ある日、テディをスタジオに連れていってみると、テディは渡されたベースを弾き始める。久しぶりに演奏するテディを見て、思わずユーリは涙する。

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▪ 自宅でルカの世話になりながら、通院しセラピーを受けるテディ。しかし記憶を掘り起こそうとするたびにテディは疲弊し、精神的に不安定に。

 寄り道をせず、真っ直ぐに病院から帰宅したルカは、夕飯をどうしようかと考え、ユーリに頼もうと電話をする。

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▪ 両手に買い物袋を抱えてやってきたユーリは、テディに簡単な手伝いをさせながら翌日の分まであれこれと作ってくれる。しかし、自分がテディとオープンリレーションシップな関係にあるとは話せず、ユーリは食事が済むとすぐに帰ろうとする。

 去り際、テディにとっては思いださないままのほうがいいのでは、とユーリが云い、ルカは考えもしなかったその選択肢に茫然とする。

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▪ マンチェスターの自宅に里帰りしていたジェシは、学生の頃に使用していたカメラを部屋でみつける。中に入ったままだったフィルムを現像して事務所に持っていくと、皆は青春時代のルカとテディの写真に一頻り盛りあがる。

 が、テディは調子が悪そうで、なにやら鬱ぎこんでいた。

 ユーリが、一服付き合えとルカを喫煙室に誘う。ドリューが喧嘩にならなきゃいいがと云い、ジェシはドリューと一緒にそっと様子を見に行くことに。

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▪ 記憶を取り戻せばトラウマの原因になっている出来事まで思いだしてしまう、思いださせないほうがいいと、ユーリはテディにもうセラピーなど受けさせるなとルカに云う。ルカは云われるまでもなくそんなことはわかっている、しかし、それでもルカは自分を散々困らせた、あのテディを取り戻したいと悲痛に訴える。ユーリが拳を振りあげた瞬間、ジェシとドリューが制止する。

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▪ ジェシは、つらい思いをさせたくないというユーリの気持ちもわかると云いつつ、しかし自分もルカに賛成だと云う。つらい記憶があるとしても、それをいくつも乗り越えてきた強いテディが自分たちの知っているテディだと。

 それを聞き、迷いを抱えていたルカも答えをつかむ。すべて思いだして、ちゃんとバンドに帰ってきてもらわなければ困る、ときっぱり云うルカ。

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▪ テディはセラピーに通い続け、ルカはそのたびに不安定になるテディを献身的に支えた。

 だが雨が降り続いていたある日、病院へと向かうタクシーの中で、テディは激しく車を叩く雨の音に恐怖し、意識を失ってしまう*²。

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▪ 何日も雨が続いているにも拘らず、ミレナは予定通りアンディの誕生日にプラハに行くとハナに伝える。莫迦じゃないのと云われながらも、息子に逢いたい一心で必死に説得するミレナ。

 だが父親らしく男の恰好で行くと電話で約束したミレナは、一着だけしか残していない男物のスーツが黴臭かったのを言い訳に、ワンピースをコーディネートし始める。息子に会える日を楽しみにミレナは浮かれるが、TVのニュースではチェコ全土への洪水警報と非常事態宣言、そして交通規制情報が流れていた。

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▪ テディのために、チェリーのレアチーズタルトや美味しい食事を作ってやろうとやってきたユーリ。だがテディは処方薬の所為か食欲がない。

 ルカが片付けのためにキッチンに立つと、その隙にテディは自分のトラウマになっている出来事について知っているかとユーリに尋ねる。早く思いださないといけない、ルカは記憶を取り戻したテディを待っているんだと焦りを見せるテディに、ユーリは思わずテディを抱きしめながら、自分とテディの関係について告げようとしてしまう。

 だがテディはフラッシュバックを起こして躰を強張らせる。ルカが駆けつけて自分を怒鳴りつけ、テディを落ち着かせようとする様子を見て、ユーリは初めてルカに対し敗北感を味わう。

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▪ 夜中にベッドを出て壁に頭を何度も打ちつけ、がりがりと腕を掻くなど自傷行為を始めたテディ。驚き、途方に暮れたルカは病院に連絡し、テディに付き添い救急車で病院へ。

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▪ チェコだけでなくドイツ、オーストリア、スロバキア、ハンガリーまで被害がでているという豪雨災害についてのニュースを見ながらも、ミレナは予定通りプラハへ向かう準備をしていた。車で一時間かけてプラハに着くと、確かに川は増水し、辺りは物々しかったが、街の中心はたんなる雨の日と大差なく感じ、ミレナはほっとする。

 しかし、待ち合わせ場所のカフェで初めて自分の女装姿を見たアンディは、パパじゃないと云って店を飛びだし、川のほうへと走り去ってしまう。

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▪ 病院で鎮静剤を投与され、テディは朝目覚めたときには落ち着いていた。ルカはすぐにテディを連れて帰ろうとするが、看護師にセラピーのある日だと云われ、そのまま残ることに。

 看護師の心遣いにより、空いた病室で眠って待っていたルカ。セラピーの終わったテディが戻ってきたとき、ルカはベッドから降りようとしてスマートフォンを硬いリノリウムの床に落としてしまう。

 そのとき割れた画面が光り、ロニーから産休中だったターニャが無事出産したとの知らせが入る。今からみんなでお祝いに行くと云うロニーにテディの様子はと訊かれ、ルカが顔を見ると、テディは何故か蒼褪め、険しい表情をしていた*³。

 しかしテディはなんでもないと云い、ふたりはまだ降り続く雨のなか、ターニャのいる病院へお祝いに行くことに。

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▪ ドリューと出産祝いのプレゼントを車に乗せ、ロニーは病院に向かっていた。するとドリューが雨のなか困っている様子の女性ふたりをみつけ、声をかける。

 車に乗せて話を聞く。ふたりは子供とはぐれてしまった母親と、女性の恰好をしたトランスジェンダーの父親だった。

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▪ 出産祝いの品を抱えて病院へ向かおうとしていたユーリは、雨のなか子供がひとり歩いているのを見かける。思わず声をかけ、逃げだす子供を咄嗟に追いかけるユーリ。あっという間に捕まえ、ユーリは人攫いーと喚く子供を強引に保護する。

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▪ 子供とはぐれたミレナとハナを乗せ、ロニーはあちこち車を走らせていた。だが子供はみつからず、ハナは女性の恰好をしてきたミレナを責め始める。

 話を聞いていたドリューは、なにかが変わってしまって途惑っても、それまでに一緒に過ごした時間は消えてしまったりなどしていない、同じように接すればいいのだ、と話す。夫婦のあいだに、互いを思いやる心が甦る。

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▪ 一方、子供を保護したユーリ。訊いても家を教えないアンディに、ユーリはなにか事情があるのだと察し、とりあえず食事に連れていくことに。

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▪ いったん自宅に戻って着替えたルカとテディは、またすぐにタクシーに乗り、ショッピングセンターで出産祝いを買ってから病院へ向かうことに。

 店員任せで大量に花やプレゼントを買いこんできたルカに、テディは呆れる。

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▪ ハンバーガーを食べさせながら、ユーリはアンディの話を聞いてやる。

 周りに人がいたから女装姿の父親をパパと呼べなかった、としゅんとするアンディに、ユーリは真実ほんとうの姿を見せるなんて半端な覚悟じゃできないと話す。

 立派な父ちゃんだと云われ、涙を溢すアンディ。

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▪ さらに一方、ジェシとエリーは一足早く病院付近に着き、近くのレストランで食事をしていた。のんびりステーキを食べながら窓の外を眺めていたふたりは、ロニーのフィアットと、ルカが乗っているらしきタクシーを見て店を出る。

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▪ 病院内で、少し距離が空いたままルカとテディの後ろを歩いているジェシとエリー。ルカたちがエレベーターに乗る直前に声をかけるが、聞こえなかったらしくエレベーターの扉が閉まってしまう。

 まあいいかとジェシとエリーはそのまま次を待っていたが、そのとき停電が起こりエレベーターも停止してしまう。

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▪ 非常電源に切り替わってもエレベーターは止まったまま。駆けつけたロニーはドリューに云われ、病院の警備員に中に人が取り残されていることを知らせる。

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▪ 真っ暗なエレベーターのなかにいるルカとテディ。ルカはロニーに連絡しようとするが、発信した瞬間、画面がひび割れていたスマートフォンはバックライトが消え、まったく反応しなくなってしまう。

 緊急連絡用のボタンで警備室と連絡を取り、助けを待つあいだ床に腰を下ろして昔話をするルカ。するとテディが、もう自分と一緒にいないほうがいいと思ったことはないのかと質問する。

 話の内容やテディの口調から、ひょっとして記憶が戻ったのでは? と感づくルカ。

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 STARTING OVER

https://kakuyomu.jp/works/16816452219415012013

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  ⚠  以下、ネタバレ注意!  ⚠

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▪ ようやく救出作業が始まり、蒸し暑いエレベーター内の奥で扉が開くのを待つふたり。

 やはりテディは記憶を取り戻していたが、まだすべてを思いだしたわけではないと云う。すぐに思いだしたことを云わなかったのは、記憶が戻ったことをあまり喜べなかったのだとも。

 なんの打算もなく、素直な気持ちでルカを好きな自分のままでいたかった、と云うテディ。本気で惚れていたことなどないかも、と云われて怒ったのは、事実を言い当てられたような気がしたからだと。あんなところから落ちたのは、きっと罰なのだと云うテディにルカは、罰じゃなく試練だ、ふたりで乗り越えていくんだ、終わったことはどうでもいい、悩むのはこれからのことだけでいい、ずっと一緒にいるんだから、とポジティヴな言葉をかける。それでもまだ俯いているテディを見て、思わずもう結婚するか? と口にするルカ。

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▪ 無事、エレベーターから救出されたルカとテディ。電気も復旧し、ロニーとドリュー、ジェシとエリーも顔を見合わせほっとする。

 外の空気を吸いたいとエントランスに出るルカに、濡れるよと呆れながら記憶がなかったあいだのことに思いを馳せるテディ。厭な出来事や犯した過ちも甦り、こんなに汚れきった自分をルカは本当に愛してくれているのか、自分はそれでいいのだろうかとテディは悩んでいた。しかしルカは、テディに纏わりつくそんな黒い靄をたやすく吹き飛ばしてしまった。

 テディにとって、ルカは光そのもの。彼の手を決して離してはいけないと、あらためて思うテディ。

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▪ そして遅ればせながら、パトカーでアンディを連れたユーリが到着。

 警官が「みつかった子供さん、お連れしましたよ!」と云うのを聞き、テディは自分を虐げる男から隠れているところへ、警察が母の事故を知らせに来たときの記憶を甦らせる。

 つらい記憶から、そのまま巻き戻していくように母と過ごしたいい想い出も再生されていく。忘れたままでいいことなどひとつもなかったと、母の想い出を噛みしめるテディ。

 すべて思いだしたよとルカとユーリに笑顔で云うテディ。ユーリは病院内に響きわたる声で喜びの雄叫びをあげ、ルカはテディを抱きしめる。

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▪ ミレナとハナもアンディと無事に再会。アンディを保護したのがユーリだったと知って驚くロニー。ハナは何度もユーリに礼を云い、ユーリはアンディに耳打ちをする。

 ミレナはアンディの前で、まるで判決を言い渡されるような顔で立ち尽くしていた。しかしアンディは、パパに好きなことを我慢させたり隠し事させてるほうがいやだ、と云う。どんな恰好してたってずっとパパなんだよねと尋ねられ、こんなんだけどパパはずっとパパだとアンディを抱きしめるミレナ。

 誕生日のプレゼントをどこかに置き忘れてきたとミレナが謝ると、アンディは欲しい物ができたと云う。なんでも買ってあげるわと答えるミレナ。

 「ドラムセット!」と嬉しそうに云ったアンディに驚き、ふっと笑みを浮かべるユーリ。

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▪ やっと勢揃いし、ターニャの病室を訪ねた一行。大量のプレゼントや花をバックに記念撮影し、赤ん坊もお披露目。

 病室を出て、なんとなく云いそびれたままだったテディの記憶が戻ったこともロニーに話し、一行は賑やかに病院を後にする。

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▪ 降り続いた雨もやみ、ドイツ、スイス、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、ポーランドという広範囲に及んだ水害は引き続き警戒を呼びかけながらも復旧へ向かう。

 テディが記憶を失っていたことは、マスコミには伏せられていた。だがゴシップ誌が、テディが問題を抱え演奏できなくなっているなどと報じた。そのためロニーは、テディは事故により記憶障害に陥っていたが、既に記憶を取り戻していて問題はないと事実を公表。それこそでっち上げだという意見が飛び交うなか、ロンドンの医師が取材を受け本当のことだとわかると、テディ・レオンは鳳凰フェニックスの如く不死身だとSNSがどっと沸く。

 ミレナとハナの関係もまるく収まり、アンディも一緒にまた三人で暮らし始めたと、事務所にお礼と報告にやってくる。

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▪ バンドは、キャンセルになったチャリティイベントの埋め合わせも兼ね、中欧水害のためのチャリティライヴをやることに。賛同するアーティストがどんどん増え、ロニーは不慣れなオーガナイザーとしての業務に追われる。

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▪ そしてある朝、ロニーが出勤すると程無くルカとテディがやってきた。大きな袋を置き、朝飯を作りすぎたので持ってきたとルカ。

 ええええっと驚き中を覗くと、タッパーウェアに美味しそうなフレビーチェクが並べられていた。テディが云うには、ルカは突然、早朝からはりきって作り始めたのだという。見た目はまだ改善の余地ありだが、食べてみるとふつうに美味しく、ロニーは驚く。

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▪ TVのニュースが聞こえてきて注意を引かれるルカとテディ。イングランドで同性婚を認める法案が成立する見込み、というニュースに、思わず顔を見合わせるふたり。

 結婚しようと思って待ってたの? とロニーが尋ねると、ルカはそういうわけじゃないと首を横に振る。このあいだのプロポーズはてきとうに調子のいいことを云っただけかとつっこむテディに、ちょっとしどろもどろになるルカ。

 まったくいつもいつも口ばっかり、とぶつぶつ云うテディに、ルカはそんなに飛びつくほど結婚する気あったのか!? と云い返し、形勢逆転。互いに結婚する気はちゃんとあると言い合うふたりを呆れたように眺めながら、ロニーはフレビーチェクを食べ終え、「ごちそうさま」と一言。

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▪ 我に返ったように、仲良く肩を並べてスタジオに向かったルカとテディ。

 ふたりが去ってから、ロニーが「……はぁ……、私も結婚したーーい!」と叫ぶと、それを合図にしたかのようにデスクの上の電話が一斉に鳴り響いた。





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❐ STARTING OVER ≫ https://kakuyomu.jp/works/16816452219415012013

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※1〈THE LAST TIME〉、《§ Lower 6th / Permanent Exclusion 「放校」》~《§ Lower 6th / Permanent Exclusion 「追跡」》。

※2〈THE LAST TIME〉、《§ Year 11 / Autumn Half Term Holidays 「鉄の檻」》。

※3〈THE DEVIL [Remastered]〉、《TR-15 - Perfect Day》。

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