第52話 ダンジョン踏破と会議の結果

急展開でしたが、マイステア近くのメインダンジョンを踏破したらしい…


現在、ダンジョンマスター〈イゴール〉さんと最下層のマスタールームに向かっています。


なぜサブマスターが80階層に居たかと言うと、

このダンジョンマスターの作戦である。


もしも、勇者や普通の冒険者がきて、サブマスターの部屋からまっすぐ下れば八十一階層へ降りる…


が、そちらの道は、偽りのマスタールームへと繋がっており、コア等のダミーも設置してあるが、転移陣は本物が設置してある。


メインダンジョンの性質上最新の登録先の階層のにしか行けない…


本物のマスタールームには80階層のモノ凄くわかりにくい隠し通路からしか行けず、


下手に下の階層を踏破して転移陣を登録すれば、100階層に飛ばされ隠し通路すら見つからないという陰湿な仕掛けだ。


そして、80階層では本来なら不老不死のベノンとかいうアホが、大地母神様の話をして脈があればマスタールームにご案内。


「問答無用!」と、斬りかかるヤツには呪いをかけて、


「ふははは、その呪いは92階層の泉でなければ…」


みたいは事を言って、攻略者達を下層へ急がせる役目らしい。


〈本来なら…。〉


良くできた作戦も台無しである。


誰だかも言ってた。


〈本当に恐ろしいのは賢い敵より馬鹿な味方〉みたいなこと…


嫌になるほど長い道だか、巧妙に上と下の階層のマップに隠れて見えにくい構造の通路を進む…


マップスキルは横からや立体図はない。上からの平面だけなのである。


こんな罠を仕掛けられたら、まんまとハマり、下手をしたら隠し通路が存在することも知らずに90階層付近を彷徨く事になっていただろう…


〈おぉ怖っ!〉


今になりダンマスのイゴールさんの恐ろしさを感じつつ、やっと、マスタールームに到着した。



広い部屋の壁にはズラリとモニターの様な物が並ぶ部屋に机がドンと置かれている〈指令室〉風の場所で、イゴールさんは、この地方全てのダンジョンをこの部屋から管理しているらしい。


メインダンジョンは勿論、

鉱物が手に入り安いサブダンジョンや、

食品や植物系のサブダンジョンも

この地方の初級ダンジョンすら、イゴールさんの管轄だった。


俺は、モニターで各ダンジョンの様子を眺めながら、


「大変な仕事だ。」と呟いていた。



そんな、大変なお仕事をバリバリこなすやり手の魔族の青年が、なぜ俺の〈配下〉になったかだが、


俺に全てのメインダンジョンを配下に収め力を付けて、母神さまに〈名付け〉をして欲しいとお願いされたのだ…


名前の無いままでは、魔族の民がいかに祈ろうとも宛先が無いために、母神様の神力に成らないらしく、


あだ名や仮の名前では無いのと同じ、確実に格上になって名前をつけて、女神として復活させて欲しいと懇願された。


俺は、


「そんなの神様の息子ダザール君が神様パワーを持ったまま地上に居るんでしょ?


ちょちょいとダンジョン踏破すれば…」


と聞いたが、ダザール君ではどんなに力を手に入れても〈親に名付けは出来ない〉決まりだという。


ただ、ダザール君が、母の女神を復活させる方法があるらしい。


それは、


ミスティルを自分の物にして、主神から実権を奪う方法、大地、海、空、人、物…。


全ての半分以上を手に入れれば実権を奪える…


ダザール君が主神様になれば、〈主神の母神様〉ならダザール君の神力を分け与えれるとの事だった。


この故郷の〈両親仕送りシステム〉で名前がなくても〈女神〉として復活できるのだとか。


〈だから、ダザール君は魔王として無茶をしているのか…〉


と、話を聞くうちに諸々納得出来てきたが、


もう当事者同士で話し合って貰わなくては〈どうしようもない〉と確信した。



俺らは、マスタールームで、第一回お仕事会議を始めた。


今からやることをまとめ直すと、


まず、メインダンジョンの完全踏破。


〈主神は法を司る神様らしく、主神との約束を守らないのは得策では無いらしい…〉


ただ目的が完全踏破後に〈地脈の操作で魔王領への力の流を止める〉から、


ママ女神の名前を現在のママ神様より上位な存在に俺が成り、〈名付け〉を行い、


地脈の力をママ神様にブチこみ、完全復活を目指す。


に変更する。


〈主神には、『ダンジョンの完全踏破』しかお願いをされていないので約束は破っていない…〉


名前さえ有れば、魔族の祈りがママ神様に届いて、後は神様家族会議でも開いて決着して貰えれば、俺的には〈お役目〉が終わる…


しかし、


そこで、少し引っかかる…〈主神は名前が無いのに神力が届かないのでは?〉と…。


その疑問には、イゴールさんがカラクリを教えてくれた。


「主神は、名付け親として他の神様の手に入れる神力をピンはねしてるから名前が無くても大丈夫です。」


と…。


〈フランチャイズ方式か!?〉


と軽くツッコむが、


改めて考えると、やることが具体的に成れば成る程…気分が滅入りそうになる。


まず、


ママ女神の復活計画をダザール君サイドに伝えヤンチャを止めてもらう。

〈可能なら勇者天野君転移前に大人しくしてもらう〉


次に、


教会にも根回しして、俺はママ女神の肩を持ち、神様家族会議の開催に持って行けるように動くと報告しておく…

ただ、主神様を倒すとか裏切るではないので〈邪魔しないでね〉の意味でね。


主神様の作戦開始まで、あと10年位かかって勇者の準備をするらしいが…。

時間があるような無いような…


〈お仕事が、たまってきたよ。トホホ〉


よし!


一旦戻って報告してからだな。

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