GIFT外伝 ゴーストタウンで踊りましょう?
クレイG
探索1.病弱少年とお狐様
「はぁ〜……今日も疲れた。」
オレの名前は
"ある組織"の戦闘員をやってる。
その組織の名は、"怪異対策連合組織裏"……文字通り、この世界の理から外れた怪異やら怪異に達さずとも人に害を成す幽霊を対峙する組織だ。
裏っつーのは、裏方の存在って意味らしい。
極めて、どうでもいいけどな。
まあ、今オレは一仕事終え、一服しようと思って、近くの喫煙所を探してるんだが、そんな時、後ろから何者かに抱きつかれた。
まあ、そんなことをする"人"なんて、十中八九"あの人"しかいない。
オレは背後の存在に問いかけた。
「うん?"霊子"さん、どうしたんだい?急に抱きついたりしてくれちゃってさ?」
後ろにいる存在……"霊子"さんは耳元で囁いた。
(誰かにつけられてる。)
その言葉に、慌ててるのを悟られないようにゆっくりと周囲を見渡す。
周りには何もない……が、案外、集中すれば人一人の気配くらいは感じるもんだ。
任務の帰りだし、今オレのいるここは、心霊スポットとしても有名な場所だし、人が寄りつきにくい。
だから、人一人なら感知しやすいつっーこった。
(ありがとう霊子さん。霊子さんはもしアレだったら"指輪"に戻ってて。"裏"に属さない、"除霊師"の一族だったら、霊子さんみたいな、"強力な怪異"は名を挙げるには格好の的だろうから。)
そう、霊子さんは"人間じゃない"。
霊子さんは、数年前に起こった"連続強姦殺人事件"の被害者達の霊が、最初の被害者である、"
犯人が口説くために使っていた指輪に怨念を籠めて宿っていた。
んだが、まだオレが裏の戦闘員になりたてのころ、霊子さんと出会って、オレ一目惚れしちまってよ?
その指輪をつけて"結魂"しちまったんだ。
以来、オレの強力な
まあ、そんなことよりも、今はここにいるを"オレ以外の人間"についてだ。
最高のパターンが、心霊スポットの噂を聞きつけて来た馬鹿な奴。
最低なのがさっき言った裏に未所属の"除霊師"の一族だ。
家系によるが、基本的に任務に支障が出るから厄介な程に
具体的に言えば、オレ達裏の目的が霊や怪異に対する対策であるとしよう。
対策には勿論駆除も含まれているが、和解できるケースなら和解するし、できないと判断しても、抵抗する術がないなら、また別の手段で対策する。
具体的に言えば、"神として祀り上げる"……だ。
そんな感じで、様々な手を使ってオレ達裏は、怪異に日々対抗、対策してるんだが、除霊師はヤバい。
一言で言えば野蛮だ。
あいつ等はまず人の話を聞かない。
故に未所属な除霊師が多い。
次にあいつ等は、怪異でも幽霊でも、除霊できるもんはする。
それ自体はいいことかもな。
でも、こっちの任務に支障が出るし、何より"強大な爪痕"を残していくケースも多い。
祓いきれずに、苦しんだ結果、怨念の増した霊とかザラにいる。
それに、未練を果たせなかったヤツを強制退場させる"除法"、これも厄介だ。
オレ達の戦闘方法は、"霊力"っつーのを武器に籠めて戦ったりするんだが、あいつ等の使う除法はかなり異質だ。
札で対象を縛り付け、ひたすらに念を送るという手法、それが除法だ。
傍から見たら滑稽だが、効果は絶大だ。
生きてる奴の魂すらも除霊しちまう程な。
そんなことを思い出してると、最早隠す気もなくなったのであろう足跡が近づいてくる。
よく聞くと、車輪の駆動音みたいなのもする。
車椅子に乗ってる人間だろうな。
どうやら、最初っから二人いたみてぇだ。
そしてどんどん接近してくるそいつ等に一つ忠告した。
「一応言っとくぜ?それ以上近づいたら、命の保証はしねぇ。それでいいなら近づけ。もし、要件があるならその場で話せ。」
オレがそう言うと、後ろの存在は要件を言った。
「う〜ん………最近入ったばっかだからまだ知られてないのかな?僕は
それを聞き終えると、オレはこう質問した。
「ソレはわかった。んで、もう一人は何もんだ?」
それを聞いた瞬間、ゾワッとする気配と、威圧的な声が耳に響いた。
「それ以上主様に無礼な物言いをするなら、わたくし、黙っていられません。正雄様。わたくしに此奴との戦闘の許可を。」
その声色、威圧、何より強い"怨念の気配"でわかる。
後ろにいんのは"神霊"の類だ。
だとすると、後ろのマサオっつーのは、相当な奴になるだろう。
「はあ〜……アンタについて聞いただけなんだがな……まあ、言い。上からの命令ならオレのことはもう知ってるだろうが一応挨拶だけでもさせてもらう……」
オレがそう言いながら振り返ると、そこには、霊子さんに首を閉められてる"九尾の狐"らしき女性と、アワアワしてる車椅子に乗った正雄と名乗ったであろう少年がいた。
「は、離しなさい!わたくしは九尾に至った神霊!貴方なんてひとたまりも……あ、待って、そろそろ本当に……虚勢も……はれなく……」
「ちょ、ちょっと
それを見たオレは、やれやれといった様子で霊子さんにこう言った。
「霊子さん、その辺にしてやんな。全く、霊子さんはオレのこととなるとす〜ぐコレだ。あんま怒ってると、そのキレイな顔が台無しだぜ?だからほら、オレにそのキレイな顔を見せてくれよ?」
オレがそう言うと、霊子さんはオレの間近に近づいてきた。
その顔は何か言いたげな顔をしてるが、まあ、やらかす前に止められてよかったと思おう。
「紹介しよう。オレは安倍晴好。で、この人が霊子さん。オレの"結魂相手"だ。そっちもだろ?その狐、三雲だっけか?」
オレがそう言うと、正雄に三雲と呼ばれてた九尾の狐は、オレを睨みつけながら答える。
「ええ、よろしくお願いしますわ、晴好様。わたくしは九尾の狐であり、"稲荷神社の神霊"、三雲と、申します。神霊であるわたくしに直接触れてなお、わたくしに死を見せるなんて……よっぽど強い"怪異"と結魂していらっしゃるようで。ガチャ大当たりって感じですか?ええ?」
三雲は嫌〜な感じでそう言ってくる。
「ちげぇよ。オレと霊子さんは愛しあってるんだ。だからそう茶化さないでくれ。あんたらもそうなんじゃねぇのか?愛し合ってるパートナー。だからオレにそんな"怒りの眼差し"を向けてるんじゃねぇのか?」
オレの言葉に、三雲は驚いた様子を見せる。
「あら、貴方様はそういうのに鈍感な方かと思いましたが見る目がありますのね?では、これからはちゃんと主様を育ててくださる"先輩"として、敬意を払わせていただきます。」
三雲は、先程までの見下した態度から一転して、仰々しい態度をとった。
それに合わせて正雄は、車椅子に座りながらも、
「よろしくお願いします。」
と、最大限の敬意をオレに払ってみせた。
「やりにくいからそういうの辞めてくれ。それはさておき、上からはどんな命令だ?」
オレは、やりにくさを感じ、それを指摘しながらも、上からの命令を聞くことにした。
「あ、うん、上の人からは"寝食を共にし、ゆっくりと鍛え上げて貰え"って……」
それを聞いたオレは、
「わかった。じゃあ、しばらくコイツとはお別れだな。」
と言ってタバコを取り出し、霊子さんに手渡す。
「コレ、管理しといてくれ。」
それを不思議そうに正雄が見る。
そしてそれを見て何かを察した三雲はオレにこう言い放つ。
「主様への配慮、ありがとうございます。主様は体が弱いと言うことを察してくださったのですね?」
その言葉に頷く。
そして霊子さんは受け取ったタバコを指輪の中の空間にしまい込んだ。
「ああ、もしソイツに何かあったらまずいだろ?後輩を傷つけても吸おうとは思わねぇしな。」
そう言ってオレは再び二人に背を向ける。
「行くぞ、我が家へ。」
オレが二人にそう告げると、2人はオレについてきた。
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