1節 深夜徘徊
第2話徘徊
家出をした。
今日で何回目だろうか。
この前は警察に見つかり補導され、父に引き渡された。
家に帰った途端暴力。
母も父に殴られ涙を流している。
「金出せよ!」
父が無慈悲に暴力と共に言葉を発する。
「無いの貴方ごめんなさい」
母はひたすら謝罪。
ボコッ(殴り音)
「ふざけんじゃねぇ‼じゃあ働けや‼」
髪を掴み母を殴る。何度同じ光景を見たことか。
「おい勇樹なに見てんだ。お前も働け」
家に居ても辛いだけ。
だから僕は今日も家出をした。
僕は16歳元高校生。名前は勇樹。
父親がギャンブル依存症なり家庭が崩壊した。
高校も中退した。
元々は幸せな家族だった。
僕には2つ上の姉が居た。
でも今は居ない。
現在は行方不明。
おそらく父の暴力が原因で僕と同じように家出をしたのだろう。
姉が帰って来なくなっても父は酒を飲みながらパチンコに行っていた。
呆れる。
何故こうなってしまったんだろう。
僕はただ普通に生きたいだけなのに。
高校に通って友達も作って、部活もして一緒に帰る。
家に帰って温かいご飯を食べて勉強、たまに友達とゲームして寝る。
朝起きて朝食を食べて学校に登校。
なのになんで。
ぽつぽつと雨が降ってきた。
安い腕時計で時間を確認すると深夜2時を回っていた。
まずいな、この時間に雨降るのかよ。
普段なら公園や橋の下で雨宿りをするが今日は別の所を歩いていた。
コンビニに入っても店員に話しかけられて警察に引き渡されるだろう。
今日はついていないな。
雨の勢いが増す。
季節は夏。
多少雨に濡れていても風邪は引かないだろうが、さすがに勢いが強くなってきた。
しかたなく目の前にある雑居ビルの入り口に駆け込んだ。
少し屋根のような部分あり丁度雨が当たらない。
中には入らず入り口ギリギリに立った。
しかし、1階だけ明かりがついており窓からバレないよう少ししゃがんだ。
にしても、この時間まで仕事とは社会人は大変だな。
具体的には見れないが薬局だろうか。
窓には「薬」や薬のマークらしきものが書かれている。
24時間の薬局ってあるんだ。純粋に興味を持った。
雨の中少しだけ見てみた。
中には、おそらく薬剤師であろう眼鏡をかけた男性が1人いた。
あともう一人、娘だろうか少女がいた。ただ髪がピンクと派手。
せっせと薬らしき物を運んでいる。
おそらく僕よりも年下だろう。
可哀そうに。あの歳で働かされているのか。
なんとなく僕と近い境遇に親近感を覚えて気が付くと雨に打たれながら少女に夢中になっていた。
ふと、先ほどの薬剤師が居た所を見る。
いない。
嫌な予感がする。
「この時間帯に珍しいね」
背筋が凍った。
横を見ると先ほどの薬剤師が立っていた。
「雨降ってるし、中に来なよ^^」
僕は薬局に案内された。
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