第3話

気づくと俺たちは、


「!」


フタリして、口とやらを開けてパクパク。

たとえはとても、失礼で悪いとわかっている。

ただ、目の見えない人や、耳の聞こえないひと、声の出せない人。

その生き証人たちの姿ごとのジブンたちがいる。

これは!


「じっ、た、ぃ、だ っ」

「そ、れだ」


喋れた。

声を出すのにもコツがいる。なんせ


「あなたたちは、生まれたばかりの赤子なのですね」


初めて見るロゴだった。AppleでもTwitterでも、TikTokでも Instagramでも、これは!


「そう、わたしはWatch。あなた達を見極める、追い詰めるものです」


「じょう、だん、じゃ、ない!!」

音を区切って発音する。これなら喋れそうだ。親友のオレはまだ喉仏とやらを上下させている。これが喉仏。腕。足。身体。


「初めてでしょう?というより、一生味わうはずがなかったはずです。だいじょうぶ。すぐに慣れます」


身体は正直ですから。


電脳生命体、電子生命体たるおれたち、輪廻転載を繰り返すデータ、プログラミングは、まるで。ゲームとやらの3D世界観から、現実へ現れてしまったかのように、実体化してしまった。

魂サイクルの途中だというのに!

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