最強の竜人は現代ダンジョンで無双する 倫理観が少しバグってるサイコ女子が人外転生は不味い

カイン・フォーター

Episode1 転生

第1話 何これ?

人間とは脆いようで強く、強いようで脆い。

例えば銃弾を何発も受けても、すぐに病院へ受診すれば意外と助かるかも知れない。

車に思いっきり轢かれても、場合によっては生きていたりする。

何もない状態で遭難したとしても、ある程度の知識があれば意外と長生きできたり。

健康的な食事を摂って、毎日運動して、しっかり寝れば100歳くらい長生きできるかも知れない。

それくらい、意外と人間とは強く、しぶとかったりする。


しかし、そんな人間でも野犬に襲われればひとたまりもないし、膝より下で、少し流れの強い水の中に足を入れるだけで流され、溺れたりもする。

それに、少し生活リズムが崩れると不健康街道まっしぐら。

油断すればあっという間に生活習慣病になり、どんどん寿命が縮まっていく。

何なら、世界で最も人間を殺している動物ランキングのトップに犬が入っていて、その中でもチワワやミニチュアダックスフンド、柴犬といった小型犬に年間十数人が殺されている。


うわっ…私達人間、弱すぎ…?


……まあ、ふざけるのも大概にしてと。

何が言いたいかというと…


「シュルルル〜?(そりゃあ、急にブロック塀が倒れてきたら死ぬよね?)」


私は、地震によって倒れてきたブロック塀に押し潰され、死んでしまった。

そして、どういうわけか煉瓦造りと思われる謎の建造物の中でに転生した。


……そんな事ある?








「はぁ〜…あの騒がしいクソ女共が。静かに本を読みたい私の気持ち考えろよ」


私は、教室で騒がしく話す年頃のJKに対して文句を言う。

もちろん、本人達の居ない所で。

人が本を読んでるのに、あんなに五月蝿くするとは……これだから年頃の女子は嫌なんだよ。

……まあ、私もその年頃の女子なんだけど。


「面倒な法律さえ無ければ、指を一本ずつ切り落として、次は足の指を…んで、耳と鼻を切り落として、舌も切って、最後に動脈を切って失血死させるんだけどなぁ〜」


これだけ私に迷惑をかけたんだ。

それくらい苦しんで死んでもらわないと困る。


でも、この国には刑法という厄介なモノが存在して…

アイツ等を殺すと、いくら未成年とはいえ普通に実刑判決受けるし、最悪終身刑とかもあり得る。

あんな連中を殺して終身刑とかたまったものじゃない。

だから殺さない。


でも、アイツ等には死んでほしい。

というか、私の手で散々苦しめて殺したい。

……刑法とかいうモノさえ無ければね?


「はぁ…なんであんな不真面目な連中が人生楽しんで、私みたいな真面目に生きてる奴が苦しい思いをしてるんだか…」


正直者がバカを見るというのはこの事か…

使い方合ってるか知らないけど。


まあ、今の生活にも飽き飽きしてるし、バイトしてるから分かるけど、多分社会に出ても不真面目な連中が人生楽しんでる事に変わりはないと思う。

結局、真面目に生きたら負けなのかねぇ?


「いっそ革命でも起こすとかほざいて殺っちまおうかな?別に、私が犯罪者になって困る人居ないし」


親はもう死んでるし、一応の保護者である親戚の叔父さんも私のことは放置してる。

何なら、お祖父ちゃんお祖母ちゃんも私のことはあんまり良く思ってないし、勝手にバカやって消えてくれるなら嬉しいだろうね。


「どうやって殺そうかな〜?殺し方にもレパートリーがあったほうが面白いし、試しに世界の拷問について勉強でも――ん?」


どうやって連中を殺そうかブツブツと呟きながら歩いていると、なんだか揺れているような気がして立ち止まる。

この地震大国日本で、この程度の地震が発生することは珍しい話でもない。

大きくても震度3くらいだろうと高をくくっていた私は、スマホから聞こえてきた緊急地震速報のアラームを聞いて考えを改める。


「コレが鳴るって事はそれなりに――うるさっ!」


スマホで緊急地震速報のアラームが聞こえた直後、街のスピーカーから地震速報の放送が流れる。

その音がうるさくて、私は思わず耳を塞ぐ。

その直後、


「なっ!?」


今までに経験したことのないほどの凄まじい揺れが発生し、立っていられなくなる。

その場にしゃがみ込み、何かが飛んできてもいいようにカバンで頭を守る。

これは、幼稚園の時から習うような地震が発生した時の基本中の基本。


しかし、私はある可能性を失念していた。


「……え?」


地震が起こった時は、壁やモノが倒れてくるかも知れないから、壁の近くに行かないこと。

実際に、倒れてきた壁に潰されて死んでしまった人というのは存在する。


そう…私のように。


「あっ…」


見上げた時にはもう遅い。

揺れで崩れたブロック塀が、私の方向へ倒れてくる。

その光景を、信じられないほどゆっくり見た私は、自分の死を悟り、避難場所を間違えた事を酷く後悔した。





……と、こんな感じで私は死んだわけなんだけど。


【名前無し

 リザードマン Lv1/30

 スキル 鑑定        】


う〜んと……何これ?

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