僕の記憶が戻るまで
こリス
黒いユリ
彼は、小学校から高校まで、何度も転校をしてきました。
今回の高校では、卒業間近で転校していったので、みんなの輪がすでにできてしまっており、その輪の中に、溶け込むことができなかったのです。
つまり、彼はいじめられていたのです。
はぁ……。
僕はため息をついて学校へ向かう。
どうせ、僕は学校では喋れない。
場面緘黙症だからだ。
いじめのせいだろうか。それとも、転校を何度も繰り返したせいで、友達が全然できないせい?わからないが、今回の学校での自己紹介の時に、突然喋れなくなってしまったのだ。
それのせいで、いじめられている、と言っても過言ではない。
でも、治療法は知らない。知っていたとしても、すぐに転校するんだからどうでもいい。
学校に着いて、教室に向かう。
また机に絵が落書きされてるのだろうか……。
クラスメイトはみんな来るのが早いんだよな……。もう全員揃ってる頃だろ。
それくらいはどうでもいいけど、冬だし水冷たいから雑巾洗うと冷たすぎて手が痺れてくるんだよな……。
そんなことを思いながら、教室の中に入り、席に向かう。
席には落書きはないが、黒いユリが置いてあった。
どうせなにかの嫌がらせだろう。花言葉は知らないけど。
僕は荷物を置いて、黒色のユリを見る。
クラスメイトは僕が何も言わないのが不思議なのか、不思議そうに見てくる。
ばーか、僕は言わないんじゃなくて言えないんだっつうの!!
内心イラつきながら、廊下に出る。
クラスメイトは、いつもより騒いでいた。
僕は鼻歌を歌ってスキップをしながら、屋上へ向かう
……って、あれ?
鼻歌?
僕、喋れる!?
だから、周りの生徒も僕のことを見ていたのか……。
僕はニヤリと笑って、教室へと鼻歌を歌いながら戻っていく。
教室について、僕は花瓶を持って、クラスメイトを見る。
「おい、お前ら!僕だって喋れるぞ~!!」
そう言って、花瓶を下に落とした。
黒いユリをいれた花瓶は
パリンッ
と派手な音を立てて割れた。
それをクラスメイトは、驚いて見ていた。
僕は上機嫌で屋上へ向かった……。
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