My essay
うずも
雨ということ
天気はふいに不機嫌になり、また上機嫌になったりと流動的な様を我々に見せつける。その様に影響を受けるのはいつもこちら側で、今日の不機嫌さに対しても例外なく直撃していた。天気が悪い、特に雨であると気分も下がることは、もはや世の常ではないだろうか。集中力が低下するだけでなくどこか心の中で鬱蒼とした気泡が浮上しながらその日を過ごすために、何かがつっかえた感覚を覚えて気持ち悪くなる。ふと部屋の窓に目を向けると、冴えない天気と共に不安定な自身をありのままに映していた。はぁと一息、空に対してなのか己に対してなのか宛先が自分にも不明なものを吐き出していた。
諦めたかのように俺はベットに身を投げた。高反発とは言えないマットレスはそのまま俺を受け止めてはくれず、多少の痛みを伴いながらごろんと横になった。そうしている内に先程の考え事とはまた別のことに思案していたが、計らずも窓の外の雨音が耳を過ぎった。否、正確には窓の外だけではない。窓のやや上にある天井からも、ぽつぽつと雨粒がぶつかる音だ。それに気づいて、あぁこの音好きなんだよなと逐一それがトリガーとなり想起する。目をふわっと閉じると、それは瞬時に心地よさへと変ずるのだ。
雨は気分を暗く突き落とすが、もう一方では優しく寄り添うかのような癒やしを届けてくれる。不機嫌な雨を嫌いになりきれず、あまつさえ甘えようとする俺は密かに笑みを浮かべていた。
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