男 アルペンルートの武器工場①
春人はこれまでに
浸食地域から来た強いモンスターを討伐する為の装備だ。
春人達が空中を飛行してアルペンルート付近までやってくると、そこには少女が倒れている。
「おい。どうしたんだ? まさか魔物にやられたのか? どうやら、本当にやばいぞ。こんな一般の子供が外で倒れているなんて。」
「まさか、魔物はもう街にまで迫っているのか?」
「街から逃げ出した子がこの子ってわけか。」
グゥウウゥッ「ぅう……お腹空いたっす。」
倒れている少女のお腹から大きな音が聞こえて来た。
「腹減って倒れてただけか~いっ!」
春人は、余っていたご飯に、
「はむはむっ。おいしーっす。ありがとうございます。えっと……」
「春人だ。どうしてこんな所で倒れていたんだ?」
「春人さん。ありがとうございます。……一年前においらの父ちゃんが亡くなったっす。……しばらくは父ちゃんが残してくれたものを売って生活出来てたっすけど、一週間前から立ち行かなくなったっす。それで冒険者ギルドに登録して魔物を狩りに来たっす。でも、空腹に耐えきれずに倒れたみたいっすね。」
「お前何歳だ? 冒険者ギルドから、注意されなかったのか? この付近は普通の冒険者でも魔物を狩れるような状態じゃないらしいぞ。」
「9歳っす。ギルドからは止められたっすけど、あるレアな魔物が浸食地域から出て来たみたいなんすよ。そいつさえ討伐出来れば、父ちゃんが残してくれたお店を売らずに済むっす。」
「う~ん。どうする、うらら?」
「魔物を狩れば良いんでしょ? 私がやるわよ。」
「本当っすか?」
「仕方ないな。こんなチビスケを、放って置けん。」
「うふふ。おいら、チビスケじゃないっすよ。あはっ……ピシアっす。…………………………………………あはははははは。」
「っ!」
ピシアが突然、笑いながら宙に浮かんだ。
「あははははっ。」
そのまま、笑いながら飛び去って行く。
「なんなんだ?……何が起こって。」
「分からないけど、まずいわ。追い掛けましょう。」
「そうだな。この辺の魔物は強いらしいし。」
春人達がピシアを追いかけると、そこにはCランクの魔物5体~6体の群れが、7カ所にある。ピシアはその魔物の群れの上空を飛翔していく。
春人は高度を下げて、指示を出す。
「ピシアの追跡と討伐で分けよう。
ヴァンサンがそれに答える。
「うん。分かった。」
「【 調査員召喚 】イライザ。」
調査員イライザはスキル【雑談遊戯】の人工知能を搭載した調査専門の召喚スキルで特殊な才能を持つ疑似生命体だ。春人と念話が出来て異常な性能の索敵スキルを持つ。
「はい。ご用件をどうぞ。」
「周辺の危険度C+ランク以上のモンスターを調べてくれ。」
「以下は、危険度C+ランク以上の様々なモンスターです。モンスターは東南の方角に扇状に拡散しています。手前から順番に報告します。
1 現在見えているモンスター。やや密集39体。
危険度C+
オーク 個体危険度Cランク
2 東南500m地点 半径500mの地点にやや拡散35体。
危険度C+
パズズ 個体危険度C+ランク
3 東南3キロ地点 半径1キロ以内に拡散している18体
危険度Bランク
サンダーバード 個体危険度Bランク
4 東南10キロ地点 密集14体
危険度A
グリフォン 個体危険度B+ランク
5 東南15キロ地点 密集11体
危険度A+
アピスブル 個体危険度Aランク
続いて、それ以外で、アルペンルートの街から半径20キロ以内にはCランクの魔物が複数存在します。そのうち3体以上で行動し危険度がC+ランクになるものが13カ所です。報告をしますか?」
「いや。十分だ。BとB+とAのモンスターの場所にうららとコユキを案内してくれ。それが終わったら俺の元へ合流だ。ただし、合流途中で危険度C+以上のモンスターに遭遇したらそれも倒してくれ。」
「かしこまりました。うららさん。コユキさん。それでは行きましょう。」
「うん。」
「ヴァンサン達は東南500m地点にいるモンスターの方も頼んで良いかな? オークとパズズって名前だと素材が期待出来そうにないと思うが。」
「二足歩行でも、体毛が多い野獣系は食用にはならないが、ちゃんと素材にはなるよ。牙も爪も含めて大きいしね。」
「良かった。では終わったら合流してくれれば良いけど、その道中で強いモンスターがいたらそれも討伐して欲しい。」
「分かった。みんな行こう。」
「「「はい。」」」
春人はひとりでピシアを追いかける。
「あははははは。」
――約30分が経過した所で、ピシアのスタミナが切れ、フィールドに落ちた。
「ピシア。大丈夫か?」
「あはははは。」
春人はピシアを抱きかかえると鑑定する。
『ピシア 9歳 Lv5 職業 戦士
属性 土
≪ 天賦の才 ≫
灰
剣技 Ⅲ
算術技
運搬技Ⅱ
紬技Ⅴ
爆笑おにぎり
≪ 食事効果 ≫
混乱(笑い) 30分
天賦の才同期 翼 30分 』
「……そういう事か。……ごめん。ピシア。」
春人は
ただ、素材は健康に良いものばかりを選んだのだが、調合した薬品を鑑定していなかった。
魔法の植物をブレンドして作った薬品と、その効果をバフとして倍増させる春人の料理の天賦の才。
結果的に副作用として30分間の混乱(笑い)と、春人の天賦の才の中から、いずれかを同期させるバフ。今回は翼が同期された。
そうして、笑いながら飛んで行く人が誕生したのだ。スタミナ切れからやや遅れて、ピシアが正気に戻った。
「あれ? 何でおいら、春人さんにだっこされてるっすか?」
「いろいろとあったんだ。ごめんな。それより、ピシア。お前、凄い才能を持ってるんだな。剣術も良いが、たぶん糸作りの天才だぞ。Ⅴは、はじめて見た。」
「鑑定された事がないけど、何でそんな事がわかるっすか?」
「……秘密だ。」
うらら達がイライザのスキルで、ヴァンサン達がスマホのGPSを頼りに合流してくる。春人達はぐるぐるといろいろな場所を飛行していたので、合流地点は遠くなかった。
「早かったね。」
「コユキがすぐに魔物を回収してくれたからね。」
「それは普通なんだよ。うららがいつも通り瞬殺だったんだよ。」
うららとコユキは普通だが、ヴァンサン達は興奮している。
「春人は凄すぎる。あんなに早く格上の魔物を討伐出来るとは思ってもみなかったよ。」
「うんうん。すぐに討伐も出来たし、格上相手だからレベルの上がり方がやばいよ。春人には感謝しかない。」
春人は、照れながら笑っている。
「あはは。それは良かったね。」
一同が談笑していると、空中から魔物が降り立っていた。それは見た事もないような、翼の生えた獅子の魔物だった。全身を覆う豪華な鎧がただのモンスターでは無い事を物語っている。ピシアが指を指して震えている。
「あわわわっ……。」
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