俺たちは生まれながらに狂っている
島国に囚われしパンダ
序章 壱幕
プロローグ
「……繰り返す、南国連合軍第3大隊およそ6割が壊滅、6割が壊滅」
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
ありえない!!
俺は40年間生きてここまでの理不尽は初めてだ
俺達南国連合は帝国と戦争をしている。
理由は単純人間同士は国家第一を考え自らの欲望の為に戦争をする。
今回攻撃を先に仕掛けたのは我々だが少し前から小さい戦争はいくつもあった。
そんな中ついに南国連合が出した結論が
進軍、ついに大戦へと発展したのである。
大戦が起こる少し前、皇帝と話し合う機会があった。
その時皇帝が行った言葉を今でも忘れない。
「今までのような小競り合いで済ます気はないのか…我々は理不尽な虐殺はしない。連合軍が我々を攻めてくるのであれば我らは防衛に対してのみ”奴ら”を使わせてもらう」
「情報の更新を確認……連合軍の戦力の7割が壊滅……繰り返す7割が壊滅……」
魔法で作られた交信機から聞こえる無慈悲な言葉、それにもはや希望などない。
「戦争が始まってたったの2日だぞ……おかしいありえない…」
俺は今にも雨が降りそうな曇り空を見上げた。
前を見なくてもわかる。
剣を持った兵士が次々と戦場を逃げて行く。
「何が理不尽な虐殺はしないだ!こんな物を帝国が持っているって知っていたら俺達は攻撃しなかったさ!!なんで先に言ってくれないんだよ!!」
いや……考えが違った。
もしこんな奴らを帝国が持っているなんて知られたらそりゃ世界平和どころではなくなる。
だから今まで隠していたのか……
こんな奴ら絶対帝国だけじゃあ制御できない。
雨が少しずつ降ってくる。
それは俺の涙と同時に流れ出した。
周りには沢山の兵士が横たわっている。
俺は膝から崩れ落ち動けなかった。
いつからいたのかはわからない。
気づいた時には目の前に”それ”がいた。
「はは、まさか連合軍75万の兵士が…たった…
…たった…5人に敗北するなんて…」
「お前が指揮官か…撤退命令を出せ」
黒衣の男は無感情に無慈悲に告げる。
「………化け物め」
私にできる抵抗は無線で撤退命令を出すことと黒衣の男に蔑みの言葉を吐くぐらいだった。
その戦争は謎に包まれた形で終わった。
突如として連合軍は帝国への攻撃を止め平和協定を結んだ。
人々は帝国が勝ったのだと思った。
しかしそれには幾つか謎が生じる。
一つ目は何故帝国は戦勝国なのに連合国にさらなる追撃または賠償命令を出さなかったのか
二つ目に帝国の兵が15万人しか出撃せず一人も犠牲を出していないこと
最後に連合軍の兵士は皆戦争の事を口にしないことと、犠牲になった兵士の数を公表しないこと
この3つのことから帝国には悪魔が住んでいると囁かれるようになった。
「……らしいぞ…エキドナ、何をやらかした?」
「ちょっと巨大蜘に化けて脅かしただけですぅーマスターすぐ敵作戦本部を破壊するから…」
エキドナと呼ばれるショートボブの黒髪のメイド服の女は俺に向かって言った。
ここはとある森の館の食堂。
中央には白いテーブルクロスが敷かれたテーブルが長く部屋の大半を仕切っていた。
3階からなるこの建物はシャンデリアや絵画など一見裕福そうに見える物がそこらかしこに飾ってある。
俺は今日の朝の帝国新聞を読みながら昼ご飯が来るのを待っていた。
「まぁ国から作戦本部の破壊が最優先って言う任務だったからな、俺は暗殺するだけの任務だったが…」
「マスターは催眠弾が使えるからまだ大丈夫なんですよ、私なんてどうやって退却させようか迷ったんですからね!!」
エキドナは少し怒り口調で言う。
俺はそれをなだめながら新聞を読み進めていた
「……そ、それより明日の準備はできたか?明日から帝国立魔法学園だぞ」
「話を逸らしましたね…まぁいいでしょう私はそれが楽しみで前回の作戦は取り組んだんですから……それに……」
「それに?」
「な、なんでもありませんすぐ他の4人を連れてきます!!」
「お、おう」
エキドナは顔を赤らめながら急いで扉を開け部屋を出て行った。
「あいつどうしてあんなに焦ってんだ?」
たまに女性の気持ちがわからなくなるがこれは普通なことなのか?
俺にはわからん
「はぁ〜とりあえず明日の準備をしないとなぁ
行きたくないけど行くしかないよなー」
俺は明日帝国立魔法学園に行く
表向きは俺への報酬らしいが実際はどうやら任務も混ざっているらしい。
これまで人生のほとんどを軍で過ごした俺にとって学園という物には興味があるが自分から行きたいとは思わなかった。
「まぁエキドナも一緒に行くしどうにかなるか!」
最悪あいつを盾にして友達を作ろう……
だって見た目からしてコミュ力高そうだもん…
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