第9話 練習台は後輩で
その2週間後の日曜日、私は研究医養成コースの後輩2名を下宿に招待していた。
「ああーさっちゃん、そこめっちゃ気持ちええですー」
「はい大丈夫、腹部の深い触診に異常はありません」
生化学教室所属の医学部3回生である
カナちゃんの引き締まったお腹はとても触りやすく、平坦な胸は見ても何とも思わない。
「では肝臓の触診を行います。痛みがあれば教えてください」
「分かりました。……ぐっ、ヤミ子先輩、力強くないですか?」
「では、このまま息を吐いてください」
「ふうーーー……あ痛っ!!」
グラマーな体型のためヤミ子が力を入れすぎたのか、腹部の触診をされている
生理学教室所属の医学部3回生である彼女もOSCEの練習で患者役をやって欲しいと頼むと二つ返事で引き受けてくれて、今日はカナちゃんと一緒に下宿まで来てくれていた。
「そろそろ壬生川さんと交代してもええですか? うちもヤミ子先輩に診察されてみたいです」
「駄目駄目! カナちゃんは今日1日私と練習するの。ねっ?」
「うん、そういうことでよろしくー」
「ヤミ子先輩、そこ押さえたら痛いです! ぎゃー!!」
恵理ちゃんのFカップの胸を目の前にするとまた大変なことになりそうなので、私はそのままカナちゃんを相手にOSCEの練習を続けた。
色々あったけど私とヤミ子は無事にOSCEの練習を進めることができて、2人とも11月中旬の本試験では全項目で合格できた。
あの時に身に付けた医療面接や身体診察の技能はクリクラを回っている今でも役に立っていて、私は今日も総合診療科の病棟実習に取り組んでいる。
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