214 待ちに待った再会

「お久しぶりです、剖良さん。お待たせしてすみません」


 待ち合わせ時刻から数分遅れて競技場の前に行くと、そこにはスマホを見ながら立っている解川剖良の姿があった。



「全然待ってないですよ。こちらこそまたお会いできて嬉しいです」


 約1か月ぶりの再会となる剖良はやはり美しく上品な物腰で、真琴はこの女性と再び関係を持てたことを心から嬉しく思った。



 昨月の中旬に畿内医大の医学部3回生である解川剖良とマッチングアプリで知り合った真琴は、京都市内で彼女に直接会ってデートに行くことができた。


 喫茶店でお互い簡単に自己紹介をしてからカラオケボックスでディープな会話を交わし、失恋の悲しみが癒えていないと話した剖良に対し、真琴は下心を抜きにしても全力で聞き手となって彼女を受け入れた。


 剖良は自分に心を許してくれてこの調子なら順調に交際できそうだと思っていた真琴だが、彼女は最後に手痛いミスを犯してしまった。


 マッチングアプリで出会って大変気に入った女性に対するいつもの対応として真琴は剖良をラブホテルに誘ったのだが、そもそも他人と交際した経験がなかったらしい剖良はその言葉にひどく傷ついてしまった。



「どうして初対面でこんなお店に誘うんですか。私に優しくしてくれたのはそれが目当てだったんですか!?」


 顔を真っ赤にして涙目で訴えた彼女の姿に、真琴は自分がせっかく得られた信頼を裏切ってしまったということを理解した。


 それからは自分のしてしまった行為について真剣に謝った上で剖良にはまた自分に会いたいと思ったら連絡して欲しいと伝えて、その日は京都河原町駅で別れたのだった。



 剖良との初デートで失態を犯して以降真琴はマッチングアプリでの女漁りにも意欲が湧かず、できることなら彼女とまた会いたいと思いながら日々を過ごしていた。


 そんな中、先月末にメッセージアプリを通じて剖良から再び連絡があって彼女は早いうちにもう一度会いたいと伝えてくれた。


 直近でお互いのスケジュールが合うのが今日この日であり、真琴はサークル活動を休んでここに来たのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る