ツガイが当たり前の世界で、ツガイが居ない私は……
雛あひる
プロローグ
この国にはただひとつ当たり前のことがある。それは『ツガイ』と呼ばれる魂の片割れが必ず存在するということだ。
『ツガイ』とは神が定めた運命の相手であり、何よりも尊ぶ至上の存在。
古い建国の書物にも『ツガイ』を貴ぶ記載がいくつもされている。それほどに『ツガイ』はこの国の人々にとって大切な存在、自身が何者であるか知るために必要な存在とされている。
だからこそ、『ツガイ』と異なる存在への理解が乏しく、『ツガイ』と死別した『カタヨク』と、そもそも『ツガイ』が存在しないこの国の当たり前の外にいる存在である『カケラ』は無意識の差別を受けることになっていたが、数が圧倒的に少ないためその問題が顕在かすることはない。
『カケラ』の語源は定かではないが、元は『欠けた』が語源ではないかとされているため、『ツガイ』が完全な調和を意味する意味を持つならば、『カケラ』は欠けた不十分なもの、あるいは罪を前世で犯して『ツガイ』が居ない忌むべき存在とすら認知するものすらいた。
それは『カタヨク』も同じだったが、『カタヨク』が元々『ツガイ』だったりのに対して、『カケラ』はそもそも『ツガイ』がいない存在であり、本来何があっても全力で庇ってくれる『ツガイ』を持たず生涯を『ツガイ』の居ない状態で過ごすことが決まっているとても孤独な存在。
この物語は『ツガイ』が絶対の世界に『カケラ』として生まれた少女がただこの世界の片隅で生きたいと願い続ける物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます