第8話もう一方の戦い
たった短い时间が経っただけで、魔物たちの血が川になるほど集まった。ロゴスは疲れを知らないで、体より大きい鉄塊を繰り返し振り回している。
重厚な大剣は非人な生物を殺すのに最適だ。
「絶対に守らなければ……」
ロゴスの心は十分に重い。ここでエンヤを守れなければ、自分がした選択は全く意味がない。
背後の火光と爆発音を判断して、きっと北辰とエンヤはここを離れたのだろう。
これは一方的な、圧倒的な戦うだ。普通の魔物がどんなに多くても、ログスにとってはただの数字に過ぎない。彼は、この魔物の宴を設計した主人公がすぐに登場することを知っている。
果てしない闇の中で、点滅する赤い斑点と様々な魔物の咆哮の他、最初の人間の悲鳴も散々になっている。
その時、青い冷たい炎がログスの前に現れた。
「これは……」
ロゴスが驚いている間に、巨大な魔力反応が一瞬でこの闇の空間を満たした。それは二つの異なる存在から成るもので、空間の魔力の流れが大きく違うのが見えるからだ。
強大な圧力を含む低い野獣の咆哮がこの闇の空間の中心に広がる。
黒いカラスたちが全部上空に飛んでいく。黒は依然として空を覆っているが、視認性は少し保証された。
山のような銀色のライオン、前爪に斧刃が人為的に埋め込まれており、彼は凶暴な目でログスを見つめている。彼にとって目の前の人間は手に入れようとしている獲物だ。
銀色のライオンの吐息は冷たい凍気を放ち、ただそこに立って呼吸しているだけで、周囲の環境温度が急速に下がる。
そして銀色のライオンの上に立っているのは、ラントロと一緒の血族——レヴァンティンだ。
彼が提げているランプの炎の色は、銀色のライオンの胸元で燃えている青い炎と同じだ。
「おい、あそこの……人間?エンヤ・メシアスはどこだ?教えてくれれば、痛みなく死なせてあげるよ。」
レヴァンティンは下の血まみれのロゴスを見下ろしている。ライオンの上に立っている彼とログスの関係は、神と凡人のように見える。
「申し訳ないが、私と会話を始めるなら、まず正直さを示してください。でなければ、私の剣が質問に応えるだけだ。」
「レヴァンティン、真祖の魔剣です。」
「なるほど、血族か……昔、酒場で炎の城フレムニアから帰ってきた傭兵たちの話を聞いたことがある。戦場に出没する強大な血族がいて、死者の血液を燃やし、生者の宵色の炎を喰らうことができる。」
「君が私のことを聞いているなんて思いもしなかったな。いいだろう、好きな死に方を選ぶことを許してやる。」
レヴァンティンは、帝国の端でさえも自分の威名を知る人間がいることを発見して、嬉しい気持ちになった。
ラントロの依頼を守るかどうかなど、レヴァンティンは気にしない。
「いわゆる褒美なんて、変えてもいいか?私には一つの質問がある。」
「おう?何を知りたい?言ってみよ。」
「噂では血族の真祖の一人が、名もなき血殺師に重傷を負われ、今でも聖域に隠れているとか。君が宣誓して忠誠を尽くすのはその真祖だろう?」
この質問とともに、ロゴスの軽蔑の表情が現れた。少し上がった口角が彼の軽蔑を表している。
そしてこの質問の目的はとても単純だ……
相手を怒らせる。
「…安心せよ。私はきっと君を粉々にしてしまう。燃え尽きた人形のように!ライオンよ、この男を殺してくれ!」
レヴァンティンはまずロゴスの質問に驚愕し、それから、冷静な言葉の下には極端な怒りが隠れている。
血族であることを誇りに思う彼が最も我慢できないのは、誰かが自分の前で彼ら一族の至高の存在を中傷することだ。
銀色のライオンが咆哮し、冷たい吐息をログスに向けた。
ロゴスの反応はライオンよりも速く、空中に跳び上がって吐息を避けた。ライオンは吐息の攻撃が外れたことを発見し、同じく空中に跳び、斧刃のついた前爪を振り下ろし、下落する途中でロゴスを腰から二つに切断しようとした。
豊富な戦闘経験を持つロゴスは、ライオンの斧刃が自分に砍り付けられるようにはしない。攻撃が落ちる瞬間、彼は大剣を振り、斧刃を狙って砍りかかる。
金属が衝突して出る光が一瞬暗い空間を照らした。ライオンの攻撃は思い通りにいかなかった。その代わり、ロゴスの格擋反撃を受けて、斧刃に割れ目ができ、前爪にも少し傷が増えた。
一回目の交戦では双方とも優位を占めることができなかった。ロゴスが着地した途端、彼は突進して、再びライオンと戦い始めた。
ロゴスとライオンが短時間で勝敗を決められないのを見て、既にライオンの頭から離れたレヴァンティンはすぐに怒りから理性を取り戻した。彼は相手が故意に自分を怒らせることを知っている。冷静になったら、最も重要なのは任務を完成させることだ。
「何かの技術を使っているのか……ラントロが共有した誘導が二つの場所を指している。」
当時、レヴァンティンとラントロは陰で、白カミの人間少年がエンヤ・メシアスを抱えて黒いカラスの群れに囲まれた闇の空間から逃げ出すのを見た。誘導が二つになったことを発見した。
つまり本当のエンヤがまだ闇の空間に残っている可能性がある。でも白カミの少年が連れていったのは偽物かもしれない。ただ何らかの原因で誘導の判断に影響を与えただけだ。
任務を完璧に遂行するため、潜伏が得意なラントロは銀色のライオンという戦力をレイトクに任せ、一人で北辰とエンヤを追いかけていった。
「そこかな?」
レヴァンティンは周囲を見回した後、車隊の位置に注目した。そこの護衛の多くは魔物の爪牙によって死んでおり、少数の生存者もただ無駄な抵抗をしているだけだ。
「哀れな奴ら。人間なのに血殺師の才能がなく、ただ他人に殺される家畜に過ぎない。」
レヴァンティンの目には嫌悪が満ちている。彼は心の底から血族が人間を凌駕していると思っている。
血殺師に関しても、普通の人間を凌駕している存在だ。レヴァンティンは甚至に血殺師と血族が同類であるべきだと思っている。
「この箱は?」
混乱した貨物の中で、巨大な箱が平らな地面に無事に置かれており、周囲にも魔物が近寄ることがない。
「怪しい。」
レヴァンティンは提灯を持ち上げ、空中からゆっくりとこの巨大な箱に近づいた。
「うん!」
強い不安感が心の中に湧き上がる。胸に石が積み上がったようで、レヴァンテォンは呼吸がしにくくなる。
「なるほど、このバリアが魔物を隔てているのか。」
嫌な感じを我慢して、レヴァンティンは無形のバリアを通り、内側に入ると、先ほどの違和感もなくなった。
「そこから離れろ!」
ロゴスの声が後ろから響く。レヴァンティンが振り返ると、向かってくる巨大な鉄塊を迎えることになる。
バン!
レヴァンティンは体を少し傾けるだけで、ロゴスの巨剣をうまく避けて、後ろの地面に大きな穴を空けた。
武器を失ったロゴスはすぐに傷ついた銀色のライオンに一つの爪で抑えられ、彼は両手で苦しく支えている。
「つまり、エンヤ・メシアスはここに隠れているのか?」
「くそ…」
ロゴスは答えなかった。ただ憎しみの目でこの傲慢な血族を見つめている。
「そうか。君の答えはもう受け取った。」
レヴァンティンは勝者の表情をログスに見せる。彼は袖を軽く振ると、強大な魔力反応が箱を砕き、中の穀物が川のように地面に流れ出る。
穀物が掃き出されると、作りが精巧で、一つの塵も付いていない真っ黒な棺がレヴァンティンの前に現れる。
初めて見ると、普通の貴族が高級木材で作る棺と違いがないが、今のこの棺には半円の凹みがある。
レヴァンティンが手を伸ばして触れた瞬間、一瞬の動悸が彼の魂に触れた。先ほどのバリアと違って、無形の威圧が上を覆っている。
「私の魂が恐れている?私は高阶血族だ。」
内心の鼓動を顧みず、レヴァンティンは棺の上に立った。彼の武器は宵色の炎でつつまれた魔剣で、いつでも棺を貫き通す準備ができている。
怒りくるって慌てるロゴスは片手を棺の方向に伸ばした。自分が肉のペーストになりそうになるのを顧みず、巨剣を呼び戻してレヴァンティンを止めさせる。
しかし…
この時のロゴスの目の奥には一つの姿が映っている。
「あれは…」
薄暗くて、見える幻想的な黒い姿。
なるほど…
黒影の正体を確認した後、ロゴスの注意力は再び銀色のライオンに戻した。
「ゴオン!」
銀色のライオンは、自分の爪で押しつけられている小さな人間が、驚くほどの力で抑えを振り切ろうとしていることに気付いた。
前にロゴスは既に巨剣を振り回し、何度も死の匂いを嗅がせてきた。
「残念だな、エンヤ・メシアス。遠くからの一瞥だけでも、こんな美しい容姿は私の記憶の奥深くに刻まれるよ。」
レヴァンティンが感慨しながら、最後の瞬間に彼は残念に思うようになった。エンヤのような人類美人なら、連れて帰って遊びの道具にしてもいい選択だ。なぜなら、このような美貌は彼がこれまで見たどの女性とも比べることができないからだ。
「ここで消えろ、メシアス家の才女よ。」
レヴァンティンの浮かび上がって半空にある魔剣は再び高く上がり、剣せんはおそらく心臓の位置を狙い、炎は既に棺の周りを紫につつんでいる。
チン!
剣は棺を突き刺さなかったし、炎も棺を燃やさなかった。代わりに、澄んだ金属が衝突する音がして、レヴァンティンの周囲の景色が消えて、白くて果てしない世界になった……
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