二十七話 『受け入れてくれた日』


今回の話……少しだけR18描写あるのでご注意ください……!



この三人の関係が凄く複雑ですが、まぁ、いい落とし所だと思います。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



鈴木春人は勝ち組だ。誰もが羨むようなイケメンで、勉強も運動もできる。女は選び放題で、金もある。



それが鈴木春人という人間だった。ずっと変わらないと思っていた。こんな日々が続くのだと信じて疑わなかった。



適当に女と遊び、和馬のことを忘れ、女と一夜限りの肉体関係を結ぶ。そんな生活を続けていけば満たされると思っていた。だけど違う。心の何処かで和馬を求めてしまっていて、忘れられなかった。



違う、と言い聞かせても無理だった。春人は気付いてしまった。自分は和馬が好きだということを。自分で自分が気持ち悪いと思った。



だって親友であった和馬に好意を抱いたからだ。これが女ならまだしも男。別にそこに偏見の目は持っているつもりは無いが、それでも自分のことは嫌いになった。



だから忘れようと思って色んな女と寝た。

しかし、駄目だった。結局和馬を思い出してしまい、虚しさだけが残った。



そんなときに来たのが『婚約者』という存在だ。

最初はふざけるなって思った。勝手に婚約者を作られ、父親の会社のために結婚させられるなど冗談じゃないと思った。



……だから、婚約者が出来てもずっと好き放題していた。幸い、婚約者であるカナも無理矢理婚約を結ばれ、嫌々だったし、そこら辺は上手く立ち回れた。



そして婚約を正式に発表するパーティがやって来た。そこで婚約を発表し、正式に婚約者になる……と周知に知る……という予定だった。



だが、石田カナは――。



『私は松崎透さんと結婚します!』



勢いよく言った言葉。わざとでも何でもなく、きっとこれは素で言った言葉だ。だからなのだろうか。笑いが止まらなかった。あぁ、馬鹿らしい、とも思ったし、最高……とも思った。



だから春人は要望通りに石田カナと婚約破棄をして別れた。



その後の展開は、帰ろうとしたら、春香が来て、少し話した後に逃げて、そして和馬が追って来て、そこで想いが止まらなくなって。和馬に思いを伝えてキスをして。



そして春香と和馬の取り合いになって。父親に別れを言って……春香と家出をして和馬の家に泊めてもらって……



そしてあの後沢山話し合った。和馬と春香に。嫌われても軽蔑されてもしょうがないと思った。

しかし、和馬も春香もそんなことはしなかった。春香も和馬も受け入れてくれた。



それを見て、どうして維持を張ったのだろう……とか、もっと早く言えば良かった、とか。後悔の念に駆られた。

しかし、今は――。



「春香ー。今和馬のこと襲おうと思ってるんだけどどう?」



「……え、やる!やる!襲う!」



「え?二人とも?襲わせないけど?いや、待って……!?」



逃がさない。絶対に離してたまるか。やっと手に入れたんだ。絶対に幸せにしてやる存在であり――。



「俺、和馬のこと離れるつもり無いから覚悟しろよ?」



「私もー……!てゆうか、明日休みなんだし、第二ラウンド始めようよー」



珍しく、春香と意見が一致した。春香も同じ気持ちなんだろう。

この先何があっても春人は和馬を手放す気は無い。もし仮に何かあったとしても、逃げられる前に捕まえればいいだけだ。



「愛してる」



「私も。愛してるよ。和馬」



「ちょ……!待っ……」



「「待たない」」



そして、今日もベッドの上で和馬は鳴き、そして夜も更けていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る