第4話
その後は特に何事もなくアガルの街に着いた。テオさんに署名を貰って解散。
「ありがとうねぇ、また都合が合ったらよろしくねぇ」
カボスさんはとにかく良い人だった。
ジュリーさんたちも多分行き先はギルドだから同じ方向に行く。
ゴブリンの話が無ければ後回しにしたんだけどな。
アガルの街は実家から王都に行くのに必ず通るのでギルドにも顔見知りがいる。
夕方のギルドは結構混んでるからキツい。
「ペコラさん、ちょっと良いかな?ギルド長に会いたいんだけど」
受付のペコラさんは、首を傾げるような仕草をして。
「ギルド長案件なの?」
って言う。
「そうね~。早めに対処して欲しいから」
「ふーん、じゃぁ一緒に二階に行こうか」
全然緊迫感のないペコラさんはタイトミニで階段を上がっていく。ルカちゃんの教育に悪いから隠してよね!
「おう、どうした」
ギルド長の部屋には髭面のおっちゃんがデーンと座ってる。
「お前ら久しぶりじゃねぇか。元気にしてたか?」
13くらいから知られてるから未だガキ扱い。
「僕らは元気だけどさぁ、おっちゃん、パルクの街までの間にゴブリンの群れが出た」
「あん?」
「こっちから3時間くらいかな。向かって来たのは全部倒したけどまだ奥に潜んでた。集落の可能性がある」
地図を取り出して大体の場所を説明。
「こりゃ、ちょっと調べないとまずいな」
「今、人手は?」
「まぁそこそこあるな」
「ふーん、じゃ僕たちは予定があるから行かないね」
おっちゃんが机の上のなんか小洒落た箱から出て葉巻を取り出して吸い始める。
「お前らは不参加か?」
ふーって吸い込みながら眉間に皺を寄せてる。まずいなら吸わなきゃ良いのに。
「殲滅系は強制じゃないなら断るよ。俺たち2人組で戦力不足だし」
とにかくメインキャラから離れたいし、ゴブリン食べれないから嫌。
「お前らが戦力不足とかねぇだろが。まぁE、Dランクで行けるかな。Cランクも付けとくか」
「キングやメイジが出てこなきゃイケるよ」
ルカが何かフラグを立てたような?
「あと血気盛んなお嬢様が参加したがるだろうから気をつけてやってね」
あのお嬢様は絶対行くだろうから。他のパーティと協調出来なきゃ大変な思いするだろうな。
「じゃぁそう言うことで」
「お前らよぅ」
おっちゃんが何か言ってるけど放置。
話を切り上げて、受付に戻って護衛完了の報告をする。
実家のガラムの町までは流石に何も依頼がなかったから道中で魔物狩りに期待しよう。
ギルド長から偵察と討伐依頼が出されて、
「おお~!!」
低ランクの人たちが盛り上がった。
ギルド依頼を受けると評価が上がるし、褒賞も出るから低ランク冒険者にとっては美味しい仕事だ。
ふと視線を感じて振り返るとジュリーさんが睨んでる。なんでよ!
仕事受けるか受けないかは個人の自由じゃん!
なんかムカするから肉串いっぱい買ってから宿取るか。やけ食いしてやるぞ。
「リィン、夜動くのどう?」
肉屋のおじさんにオマケをつけてもらってご機嫌に受け取っていたらルカがこのまま移動することを提案してきた。
「まぁ強い魔物はでないだろうけど」
「じゃ行こう。とっとと離れた方が良さそうだし」
こう言うルカの直感には従った方が良い。
野営になっちゃうだろうけど、仕方ない。先を急ごう。
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