第2話

 ルカと2人、王都アンシェルのギルドに寄って帰郷の道中の護衛か遭遇しそうな魔物の退治依頼とか一石二鳥なの無いかな~って。


 荷物は転生者特典?な無限収納(アイテムボックス・温冷と時間停止付き)に入れちゃうし、水や食料もちゃんと入れてるから身軽なのよ。一応マジックバッグも作ってルカにも持たせてる。

 

「ねね、本当に2人とも王都離れちゃうのぉ?」

 受付嬢のモニカちゃんが聞いてくる。学園入学時から担当してくれてる色っぽいお姉さんだ。 


「そうなの、田舎を拠点にダンジョンとか行きたいんだもん」

「寂しいなぁ、近くに来る時は寄ってちょうだいね」

「ああ」

 ルカはちょっとぶっきらぼうに返事をした。私は知ってる。モニカちゃんはルカの好みだと。おっぱい星人め!「ああ」ってカッコつけよってからに~!このこのぉ!


「モニカちゃん今までありがとうね。またこっち来たらよろしくね!!」


 結局道中のアギルの町までの商人の護衛依頼があったのでそれを受けた。

 三日後って言うのがアレなんだけど、まぁ早い方よね。



 学園のあの騒ぎの後、王子は側近たちと辺境で根性を叩き直すとか。甘くない?と思われがち?かもしれないけど、王子たちが行くワンダール領は、とんでもない秘境で危険いっぱい夢いっぱいなので無事にいられれば良いね?くらいな場所。女性も少ないから都会のひよっこ美少年が無事でいられるかは・・・え、私はなんでも来いな元お腐れです!この情報要らない?


 抱っこちゃんは王様王妃様と宰相(公爵令嬢の父)が大激怒で鉱山送りらしい。

 山掘る方でもキツイだろうけど多分鉱夫さん相手にって事なんだろうなぁ。怖い怖い。

 一番怒ってるの王妃様なんんだろうな?違うかな。


 学園での事の報告を怠ってた教師陣や護衛陣もキツめのお灸が据えられたらしい。内容は表に出て来てないけど二度と元の職には付けられないだろう。



 

 私が急いで王都を出たいのは、この先の未来が二作目に移行したり、バグで主人公たちに巻き込まれたら嫌だから。

 新作ゲームが発売される前に死んでしまったから何が起きるか分からない。

 モブだけど逃げるに越したことはないもん。ダンジョンに潜って潜って逃亡じゃい。


 そそ、モブだから目立たない凡庸な見た目だと思うじゃん。でもうちの家族ってばみんなわりと美形。

 中級貴族でこんな美形揃いなら他の貴族はどうなんだろうと思ってたら、近隣の領地のお茶会に呼ばれた時に見た顔ぶれはそれなりに整ってたけどうちの家族ほどでもなかった。


 兄たちが王都でわりとモテてるって聞いていたにで、ルカと相談して認識阻害の魔法を習得して学園内ではずっとボヤかしてた。目立ったらモブじゃないし。

 でもこのボヤかしがあの婚約破棄シーンのモブな私とリンクしちゃってるじゃん?

 だから出来るだけ王都から離れたい。



 長兄は少し金回りの良い伯爵家の美人さんが嫁に来てくれて、持参金も奮発してくれてうちは少し盛り返して。

 次兄は男爵家婿入り予定で多少援助金が出るらしいので暮らし向きは安定して行く方向。

 貧乏子爵家でも顔が良いとお嫁さんになってくれる人いるんだ。まぁ兄たちは両親に似ておっとりしてるし性格も悪くないからね。


 学園では上位貴族の人はさすがって言うか美形が多かった。やっぱ顔も婚姻の基準にあると思う。

 中級や下位の子で美形だと、高位の子に無理矢理付き合わされたり、家のコマとして後妻に出されそうって話がチラホラあって。まぁ喜んでいた子もいるわけだけど。

 お相手がそれなりのお金持ちなら納得できる人もいるかもね。



 冒険者としても最初の頃は認識阻害してたんだけどほとんど2人で行動してるし、基本ルカに寄せて男装してるし、ギルドで高ランクの人にバレたら裏を探られたり、何か疚しいとか思われて大変なことになりそうだから、ボカすのはやめた。


 たまにウザいおっさんとかちょっとイキった兄さんに絡まれたけど、まぁ金的入れて黙ってもらったよ。めっちゃキレて来たけど、騒ぎでギルド長とかAランクの人が出て来て若いのに絡むのが悪いってなるから平気。


 目立たないつもりだったけど、絡まれた分は仕方ないよね?


 お土産追加したり買い物しまくって三日後、待ち合わせ場所に行ったらば。


 いや、なんでやねん!?


 あの日笑いかけてくれた迫力美女がいたんですけど!?




 

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