第12話 ナポリタン

お金もそこそこ貯まったし、心機一転アパートからマンションに引っ越した。

そしてアタシは今日から太ることにした。

太ると言っても5キロとかそんなもんじゃない。


目標90キロ。


身長172センチ。体重今55キロ。

だから、35キロ、体重を増やすつもりだ。

期限は半年。残り半年でバストだけ残し、痩せなくてはならない。生半可では出来ない。

アタシは女の子の魅力を引き出す為に、ここに誓う。


まずはグウタラ生活を始めるために、DVDを借りに行く。

アタシはラブストーリーが好きだ。あとアニメ。

それらを3枚ずつ手に取った。


その後早速スーパーへ買い物に行った。カートに買い物カゴを2つ置いた。

目指すはお菓子コーナー。

スナック菓子を一通りの種類、カゴに入れる。

次は甘い物。

クッキーにチョコレート、おせんべいも炭水化物で良い。特にピーナッツの着いたおせんべいは、カロリーが高くて良さそうだ。

それからパスタと菓子パンを大量に、買い物カゴに入れる。

そうそう、デザートも忘れずに買わなくちゃ。

シュークリーム、焼きプリン、ティラミス、ミニパフェ。どれもこれも美味しそう!

そうだ!大福も太れる!

その他にお団子も追加。

ラストは大量のアイスクリーム。氷タイプよりも、バニラアイスの方が高カロリー。

アイスクリームは冷凍庫にストック出来るから、気に入った物をじゃんじゃん買い物カゴに詰めた。


買い物はストレス発散にもなる。色々見ているだけで楽しいし、何より

これからバストが出来るんだもん。

とても楽しみ。


会計も終わり、大きなエコバッグ4個分にまでなった。

帰りはタクシーに乗った。大きな荷物を持っていたから、みんなの邪魔になると思ったしジロジロ見られるのが嫌だった。

それに一応雑誌モデルしているから、こんなに大きなエコバッグ持ち歩いていると、ネットですぐにウワサされそうと思った。

少し警戒した。


アパートにやっとのこと帰り、ドサッと大量の荷物を床に置く。

アイスクリームだけは急いで冷凍庫にしまった。


さあ、これからグウタラ生活を始める。


まずはなるべく動かず寝ていること。

エコバッグを側に置き、食べたい時にスナック菓子や甘いお菓子を取り出して食べる。

そうだ。借りてきたDVDでもみようかな。

一発目はラブストーリー。ソファに横になり、ポテトチップスを食べ始めた。


一枚DVDを見終わると、辺りはもう暗くなっていた。時間が経つのが早い。

アタシはカーテンを閉めた。


今度はエコバッグの中から、大量のパスタを取り出した。

大きめのフライパンに水をたっぷり入れ、ガスを点火。

アタシはまたエコバッグの中をガサゴソ手でかき回し、大福を取り出す。お湯が湧く間に大福を口にほお張る。

大福なんて何年ぶり?と言うくらい、久しぶりに食べた。

よく餅類は母乳を出すのに効果的だと、聞いたことがある。もちろんアタシはまだ男だから、妊娠も出来ないし、母乳も出ない。だからきっと買ってきた大福もお団子も、太りやすいのかなって思った。中の小豆も美味しい。


夕食はナポリタンにしよう。

お湯が沸騰したところで、塩を適量入れパスタを投入。一度に作って置けば、明日も食べられる。

冷蔵庫の野菜室には、適当に買っておいた野菜たちがビッシリ入っている。

野菜室から、玉ねぎとピーマンを取り出した。

パスタが茹で上がるまでに、玉ねぎをスライスし、ピーマンを薄切りにする。

それから今朝の残りのウインナーを、斜めに切った。


今朝はウインナーと目玉焼きと、軽くレタスとパプリカのサラダを食べた。その残りのウインナーだ。たまたまだけど、残しておいて良かった。

今度は大きめの鍋をコンロの上に載せた。そこにオリーブオイルをやや多目に入れ、玉ねぎ、ピーマン、ウインナーを炒めておいた。


喉が乾く。

体が熱くなり、コップに水を入れて、一杯飲み干す。まだ喉は潤わない。そしてもう一杯。

ぷはぁー。コーラでも良かったな。


そうこうしているうちにパスタは茹で上がり、次の工程に進む。

パスタを一度ザルに上げ、軽く湯切りをした。

パスタ特有の香りと湯気が立ちこもる。

炒めておいた野菜の入った鍋に、一気にパスタ投入。箸と木べらを上手く使い、両手で炒めた。

仕上げにケチャップたっぷりと、隠し味のマヨネーズ、コショウを入れてかき混ぜながら炒めれば、完成!

完璧にナポリタンの出来上がり!


アタシは鍋敷きをテーブルに持って行き、今度は出来たてホヤホヤのナポリタンを鍋敷きの上に載せた。

そして、さっき飲まなかった大きいペットボトルのコーラと、コップを、テーブルに置いた。

女子力の無い食卓だが、今回はそうは言っていられない。

「いただきます!」

炒める時に使った箸で、勢い良くナポリタンを口にほお張る。

「やっぱり完璧な味だね」

アタシは独り言を言いながら、ズルズルとナポリタンを食べた。


だが、やっぱり胃は一気に大きくならない。半分いっただろうか?鍋にはその残りがまだある。

食べ切ることが出来なかった。

仕方がないからタッパーに残りを入れて、冷蔵庫に保管した。


デザートはバニラアイス。やっぱり美味しい!アイスクリームは簡単に太りやすい。たっぷり食べた後には持ってこいの一品。


今までこんなに沢山の量を食べたことが無かった。やればなかなか出来るもんだな。


アタシはお腹が満たされ、そのまま眠りについた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る