第38話

38

「おい……お前。今なんて言った?誰に向かって言ってるのか分かってるのか!?お前なんか直ぐに捕らえて死刑に……」

「いやぁ〜怖い怖い。立場ある者が直ぐに感情に任せてキレ散らかして重い言葉を簡単に使う……。そりゃあ求心力も弱まるよなぁ……。でも最初に最低限の礼儀を守らなかったのはそっちなんだからこっちも遠慮する必要無いよね?」

「最低限の礼儀だと?お前みたいなやつのどこに払えと!人の婚約者と浮気してるくせに!」

「浮気?どのへんが?必ず誰か一緒に居て二人きりじゃないでしょ?…………その女は?そっちこそ浮気でしょ。自分の事棚に上げて不思議〜。あ、あと自分の通ってる学校の人間の名前と身分位覚えたら?全部は貴方には無理だろうからそうだな……、自分と同じ位の人間の名前くらいね。」

「俺と同じ?そんな人間、学園には居ないだろう。何を言ってる?」

「あ〜、そっか、それならいいんじゃない?はい、そろそろ帰ろうね〜お迎え来たよ〜。」

「そのムカつく話し方を辞めろ!……って、は?迎え……?」



聞き返したロバートがユリウスの視線の先を辿ると、そこにはキレイな笑顔を浮かべた治安維持部隊の者が立っていた。

前回彼を連れていった中に居た人だ。


ロゼリアが通報してから、ロバートが逃げないようにとユリウスが自分に彼の意識を向けさせ、わざと煽ってその場に留めていたのだ。

その事を知っていたはずのシャーロットが止めに入らなかった事にロバートは困惑の表情を浮かべる。


途中、止めようとしたシャーロットにロゼリアが耳打ちして止めさせたのだ。納得したシャーロットは、窓の外に見えたロゼリアによって呼ばれた部隊の人達に手を振って場所を知らせた。



「……殿下。陛下によって外出は禁止されたはずです。なぜここにいらっしゃるのです?」


そうして冷たい声と共にロバートは引き摺られて行ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る