第17話

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「うん、体調に問題は無さそうだね。聞いたところによると、寝不足だったようだね?原因はそれかな。あと……強いストレスを感じたりはしたかな?寝不足の所にストレス性の過呼吸が重なって急性の脳貧血起こしちゃったかなぁ。」

「ストレス……ですか…………。」


それならば昼間目撃してしまったロバートの事でまず間違いないだろう。でも、果たしてその事を打ち明けてしまっても良いのだろうか。この婚約は、王家からの勅命だ。そこには当事者の思いなど一切関係ないのだ。昼間の事を話したとしても、きっとどうにもならないだろう。


だんだんと顔色を悪くしていくシャーロットに何かを思ったのか、医者はそこで話を切り上げた。



「言いにくいことなら無理しなくても結構ですよ。落ち着いて、ご自分のタイミングでお話くださいね。話せそうなら御家族に、それが厳しそうならこの老いぼれ、何時でも参りますのですぐ仰ってくださいね。それでは本日はこれにて失礼致します。お大事に。」


人好きするような柔和な笑顔を浮かべて一息にそう言い切ると、彼はさっさと荷物をまとめて部屋を出ていった。


後に残されたのは、傍で静かに医者とシャーロットの様子を見守っていた公爵家の面々だけだ。


話した方がいいのか、良くないのか。

シャーロットが逡巡していると、顔を青くしたり白くしたりする娘を見た公爵夫人が口を開いた。



「シャーロット。今はあなたの体調が一番大事よ。無理して話さなくてもいいわ。まずはしっかり眠って、体調を回復させることに集中なさい。私たちは今日はこれで失礼するわ。あぁ、でもね、これだけは覚えておいて。私たちはみんな、どんなことがあろうともシャーロットの味方よ。じゃあね。また後で様子を見に来るわ。」


そう言うと、公爵夫人は身を翻して部屋を出ていった。



「その通りだ。私たちに出来ることなら何でもする。無理に聞き出すことはしないが、悩みがあるならどんな些細なことでも聞くからな。」

「あっ、お父様!」


母に続く父の暖かい言葉に思わず涙がこぼれそうになったが、彼が部屋を出ていく寸前で慌てて引き止めた。

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