第24話
ラブハウスに入ると大きな丸いベッドが中心に居座る。
紫色のベッドと青い照明が怪しい雰囲気を醸し出す。
「見て見て！お風呂が豪華だよ！それにガラス張りで凄い！」
ガラスが透明で丸見えなんだよなあ。
「トイレも広いわね。ふふん、悪くないじゃない」
多目的トイレだ。
色々アレな事が出来る。
チンカウバインプロデュースな時点でお察しだ。
おかしい、色々な事件や何やらが混ざっているぞ？
「テーブルは無いの？」
「無いんだよ、ベッドに座って話をしよう、凄く寝心地が良く作ってあるんだよ」
「本当に肌触りがいいわ。うん、皆座りなさい」
チンカウバインは飛びながら俺達3人を見下ろし、満足そうに笑った。
そして3人はベッドに座る。
それにしても照明に照らされたアイラは綺麗だ。
リンカフレイフィールドは、見た目だけは整っていて美人なんだよなあ。
背は小さいけど。
「なんか、ここにいるとドキドキするよ」
「少しだけ、暑いわね。もう少し涼しく出来ないの？」
「出来ないよ」
出来ないじゃなくて正確には『そんな事はしたくない』の出来ないだろう。
「この部屋はいい匂いがするね」
「なあ、ここはチンカウバインが作った空間だ。出ないか？」
「逃げるんじゃないわよ！」
「いや、そうじゃなくてこの空間は」
「逃げないで話を聞きなさいよ！」
「……分かった」
2人は汗をかいて、服が肌に張り付いている。
2人の汗で肌がしっとりして、照明やにおいも人を興奮させるように考えられている。
「熱そうだね。みんなでお風呂に入ればいいんじゃないかな？」
「今は黙ってくれ。話が進まない」
「それで、リンカフレイフィールドさん、用件をどうぞ」
「フィール、私と結婚しなさい！そして私の家に15憶ゴールドを援助しなさい！」
「ん？」
「フィール君は知らないよね、リンカフレイフィールドさんの家はシュヴァイン伯爵家から15億を借りてるの。結婚する代わりに15憶の援助をお願いしているんだよ。リンカフレイフィールドさんがシュバイン家に身売りする事で5憶だけ借金をチャラにして貰えるんだって」
「身売りしても全額の15憶じゃなくて5憶しか返せないじゃないか」
主人公に痛い目にあわされた豚貴族か。
ゲームで痛い目に合った後、主人公の見えない所で豚貴族は悪い事を続けていたのか。
主人公の見えない所で救われないままの事件が多く起きているのかもしれない。
結局冬になると急に出て来て倒されるんだけど、その前に被害者は増えていくのかもしれない。
「ふふん！そう言う事よ！」
「でもそれって、リンカフレイフィールドさんが売られる事になりませんか？」
「そう言っているわ！」
「リンカフレイフィールドさんは、僕の事を好きなわけではないですよね？」
「……しょうがないじゃない。パパを助けたいのよ」
「領主を助ける為なら好きでもない僕に体を差し出すと言う事ですか？」
「そ、そうよ、か、体を、さ、差し出して！こ、子供をつ、つく！」
真っ赤になりながら言った。
「でも、そんなに恥ずかしがっているのにフィール君の相手を出来るのかな？体を差し出せるなら、一緒にお風呂に入れるし、一緒のベッドで抱き合えるよね？裸になれるよね？」
「……分かったわよ」
リンカフレイフィールドは立ち上がった。
そして制服を脱いだ。
「ちょ！ストップストップ！」
「何よ！証拠を見せるわ！」
「まず、僕は15億も持っていません。結婚はいいので借金の返済には協力します。今からダンジョンに潜ります。チンカウバインの恋占いとどっちがお金を稼げるか分かりませんが、出来るだけたくさん稼げる手を打ちます。借金は後で返してもらえれば大丈夫です」
「私もポーションを作って協力出来ます」
「どこまで出来るかは分かりませんが協力します。今は時間を稼いでください」
「そ、そう。助けて貰ったら、借金は色を付けて返すわ」
リンカフレイフィールドはほっとしたような顔をした。
俺に体を売るのは嫌だったんだろうな。
明日からダンジョンに潜る話をしてその日は解散となった。
この子は、パパの為に体を差し出そうとしたのか。
リンカフレイフィールドに対する見方が少しだけ変わった。
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