第22話
黒い俺が風魔法で俺を牽制しながら襲い掛かって来た。
俺は魔法を躱して剣で斬りかかる。
剣で斬り合う事で、俺自身を客観的に見る事が出来る。
自分の癖が分かる。
自分の隙が分かる。
駄目な自分と向き合う事が出来る。
自分の嫌がる事をやり続ける!
自分の悪い癖は見直す!
隙を無くせ!
俺はいつしか没頭していた。
黒い影が消える。
もう、終わりか。
「良いですね!もう一回出来ますか!?」
13人の黒ローブは地面に倒れていた。
「ま、魔力が、もう無理です」
「でも、良かったですよ」
「ど、どういう所が、よ、良かったですか?」
「はい、自分自身の悪い癖を客観的に見つめる事が出来ました。自分自身と向き合う事で短期間で強くなれる気がします」
女性生徒は黒いローブから水晶玉を取り出した。
『はい、自分自身の悪い癖を客観的に見つめる事が出来ました。自分自身と向き合う事で短期間で強くなれる気がします』
「ふ、ふふ、うふふ、フィール君の声はしっかり記録しました。こ、これで訓練場に魔法陣を設置できる、ふふ、うふふ」
ゲームだと、皆怖がって実験をやらないんだよな。
それに、みんなの魔力を大量に使うのと、この13人は悪い人じゃないんだけど怖がられている。
「面白そうな事をしておるのう」
「「学園長、マーリン様!」」
「これはワシでも起動できるのかの?」
「は、はい、え、詠唱と、しょ、触媒と、ほ、本人の魔力による、い、人格の投影さえ出来れば」
「うむ、ワシにやらせてくれんかの?」
13人が地面に寝ころびながら喜んだ。
俺は動けなくなるまで訓練を続けた。
能力値の上昇が早い!
流石ボーナス訓練だ!
俺は、その日から影訓練を重点的に行った。
ゲームではマーリンが飽きるまでの一カ月間、影訓練を続ける事が出来る。
影訓練はボーナス訓練なのだ。
俺は、一カ月の間影訓練を続けた。
アイラは頑張って調合の特訓をしている。
俺を見て頑張ろうと思ったらしい。
◇
俺のステータスは上昇した。
フィール・バイブレーション
体力レベル 429(+173)
魔力レベル 405(+210)
速力レベル 443(+43)
生産レベル 10
知力レベル 368(+210)
魅力レベル 844(+150)
スキル
『☆秀才』『☆風魔法の才能』『☆イケメン』『☆妖精契約・チンカウバイン』『剣術:中級』『炎魔法:下級』『水・氷魔法:下級』『風魔法:上級』『土魔法:下級』『聖魔法:下級』『闇魔法:下級』『生産魔法:下級』
内政力
爵位:男爵家の息子
兵力レベル:無し
収入レベル:無し
領地レベル:無し
戦闘関連の能力だけでなく知力も伸びた。
マーリンが休憩中に学科の問題を出してくれたからだ。
チンカウバインは恋愛相談を進め、恋愛ポイントが400を超えたらしい。
アイラは錬金術の猛特訓を始めた。
俺が頑張っているのを見てやる気が出たそうだ。
訓練が終わり寮に戻る途中。
子供が立っていた。
いや、背は小さめだが、よく見ればオーダーメイドの赤と白の制服、同じ生徒か。
俺をじっと見ている。
気の強そうな目、
貴族のような動き、
オーダーメイドの制服、
気が強い金持ちギャルのように見える。
プライドが高そうだ。
いやな予感がした。
「こんばんわ」
そう言ってから目を逸らして歩く足を速めた。
「ま、待ちなさい!」
「すいません、汗臭いので体を拭きたいです」
「待ちなさいよ!」
あの命令口調に嫌な予感が増大する。
だが相手は俺の服を掴んだ。
「何でしょう?」
「チンカウバインに聞いたんでしょ?」
「いや、何言ってるかわかんないっす。じゃ!」
立ち去ろうとするが服を放さない。
「今急いでいるので」
「待ち!待ちなさいよ!」
俺は風魔法を使って走った。
◇
男子寮に走り、シャワーで汗を流し食事を摂って部屋に戻るとチンカウバインが帰って来た。
「……」
「どうやら2人目の愛に合ったようだね」
「愛?何の事か分からないが俺があったのは小さくて金髪ツインテールのわがままそうな貴族だ」
「そう!その子が次の運命の相手だよ!」
「あ、ありえない!」
あのプライドが高そうで辺りが強いあいつが?
おかしい。
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